【tanuki journal】No.7 ”現地取材”築148年の住宅をリノベーションした本場の空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第七弾はデンマーク現地の様子をお届けします。お伺いしたのは10年ほどの付き合いとなるJ氏宅。今回取材したい旨を伝えるとデザイナーズハウスじゃないし、ジャンク品と少しのナイスなアイテムくらいしかないけどいいの?謙遜していて、ボツ企画になるかもと思っていたところこのスタイリングときたのでデンマーク人のセンスの高さに良い意味で裏切られました。


J氏はデンマーク家具のディーラーで、個人の趣味として本格的な工房を持ち木工やDIYも得意。今回はJ氏の元で買付が終わった後にご自宅を見せてもらいました。

J氏が住むエリアは1600年代から集落として人が住み始め、近くの教会もその頃建てられたそう。J氏の住宅は1877年に商店として建てられた記録があり、さまざまな歴史を経て現在J氏が住んでいる。

当時の貴重な写真。左奥に見えているのが当時商店だった頃のJ氏宅。
当時の商店の様子。

まずは玄関から入った最初のホールにローズウッド材のグランドピアノとヴァーナー・パントンのVP GLOBEというクラシックとスペーシーが絶妙にミックスされたコーディネート。ロッカーでさえアート作品に感じてしまう空間。いきなり予想を超えてくる空間に感動を伝えようにも英語の語彙力がなさ過ぎて感動を伝えられないもどかしさに思わず窮する。

ホールの隣はキッチン。J氏がほとんどの部分をDIYで改修して使用している。コンロなどはオークションなどで安く購入したそう。

デンマークの街中を走っていると、窓から見えるちょうど良い位置に照明が吊られていることが多い。こういった造りが良い街並みを作り上げているのでしょう。

ホールの向かいはダイニングエリア。全体のバランスや配色、絵画やアートの取り入れ方、異なるテイストのものの組み合わせ、何から何までそのコーディネートセンスに脱帽。奥様が塗装をしたという古いテーブル天板に別のステンレス脚を取り付けてリメイクしたダイニングテーブルに赤いセブンチェアという構成。普通ならなかなか思いつかないコーディネートですが、パントンチェアや絨毯との絶妙なバランスによって、見事にまとめられています。照明はレクリントの CARRONADE を使用、空間をうまい具合に締めています。私自身も北欧ヴィンテージであればそのジャンルだけでコーディネートを考えてしまいますが、本当にデンマーク人はこのような異素材や異なるテイストのものの合わせ方がうまく勉強になります。 

このお部屋の主役、J氏の趣味であるお酒のコレクションを収納している大型のガラスキャビネット。SASのプレートがあることから、アルネ・ヤコブセンがデザインしたことで有名なラディソンSASロイヤルホテル(Radisson Blu Royal Hotel)で使用されていたもののようでかなりレアな一品。生涯売らないとのこと。

キャビネットの向かいのガラスの窓際にはホルムガードなどのガラス小物をコーディネート。他のお宅でも窓際や光が差し込むところにガラス小物を飾ってあるところをよく見かけます。 光を取り込みながら美しさを引き立たせています。

アフリカンアートや絵画など。古い携帯電話でさえアートです。

二階への階段の踊り場には標識。

書斎スペースにはアルネ・ヤコブセンのAJロイヤルやカントリー調のデスクなどをコーディネート。

ダイニングエリアを抜けると大量の書籍とJ氏のコレクションであるベースが壁面にたくさん飾られているリビングエリア。

リビングエリアの一角にはアルネ・ヤコブセンのエッグチェア。愛犬にいたずらされてもいいように、ほどよいヤレ感のエッグを使用しているとのこと。このバランス感覚。

リビングを抜けるとJ氏の趣味である木工の作業場へ。個人の趣味としてはかなり本格的。

オークションで落札した木工旋盤も本格的。配送に苦労したそう。

黄色のガーデンチェアとテーブルもアートに見えてきます。


J氏の住まいを訪れたことで、デンマークの文化や生活スタイルに触れる貴重な機会をとなりました。彼の家には、過去と現在が調和した空間が広がり、デンマーク人ならではの秀逸なセンスの良さに感動しっぱなしでした。特に、アートをさりげなく生活に取り入れる巧みさや、異なるテイストのアイテムを絶妙に組み合わせるスタイルにはやはり驚かされます。豊かで温かみのある暮らしのための多くのインスピレーションを得ることができました。今後も本場の生活空間を発信していきたいと思います。J氏ありがとうございました。

北欧家具tanuki 北島

2025年4月入荷予定商品をストックリストへ掲載しました。

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北欧家具tanuki 北島

 

【tanuki journal】No.6 ”現地取材”名作が並ぶモダンで美しい空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第六弾はデンマーク現地の様子をお届けいたします。お伺いしたのは家具ディーラーでありながらコレクターでもあるJ氏宅。普段は地元の新聞社などからの取材依頼をすべて断っているそうですが、10数年の付き合いもあり日本向けの記事であることを伝えると快く今回の取材を受け入れてくれました。まさにデンマークらしい美しい光景が広がっていました。


玄関から廊下を通りまずはリビングエリアへ。白を基調とした広々とした空間に余白を持たせて家具が配置されています。メインの照明としてルイス・ポールセンPH5-4 1/2にパンテラフロアとAJ テーブルランプを配置。控えめな照明はきっと夜の雰囲気を高めることでしょう。正面のウッドパネルは木の温かみを感じられながら、スリットに消音スポンジが入っており音の反射を抑えられる機能があるという優れた一品でデンマークで人気があるとのこと。薪ストーブもスタイリッシュ。ゼブラ柄のラグが空間を間延びさせず且つ空間を引き締めています。

壁付けのウォールシェルフ。テレビはウォールシェルフに乗せず壁付けにしており、ごちゃごちゃしがちなテレビ周りもとてもすっきりまとめられています。J氏曰くこのウォールシェルフはフィン・ユールのものかもしれないが、どの書籍にも載っていないので真偽は不明とのこと。所々真鍮のパーツが使われておりクオリティーの高さが伺えます。

ハンス・J・ウェグナーのGE290AとCH28。

リビングの向かいには、ゆったりした空間に名作家具が並びます。

アルネ・ヤコブセンのエッグチェアとスワンチェア。

取材した時期がクリスマスシーズンだったためプレゼントがディスプレイされています。アートの取り入れ方が俊逸です。

ホルムガードのCarnabyシリーズ。配置も美しい。

カイ・クリスチャンセンのウォールシェルフの下にはポール・ハンディバッドのmodel.41ゴールドヒル。ご夫婦で送りあうクリスマスプレゼントが置かれていました。素敵です♡

フィン・ユールのNV55とボーエ・モーエンセンのチェスト。

広いリビングエリアを抜けるとダイニングエリアへ。

フリッツ・ハンセンのスーパー楕円テーブルにハンス・J・ウェグナーのCH-29とYチェアを配置。照明はポール・ヘニングセンのコントラストを2灯使用しています。壁面の絵画と合わせてオレンジの鮮やかな色味が温かみを与え、ブラックのラグとチェアのレザーが空間を引き締めています。

ポール・ヘニングセンのコントラスト。
グスタフ・エアレンライフのホプティミスト。
リュンビュ・ポーセリンのベース。陰影が美しい。
リビングエリアで余ったウッドパネルをこちらにも使用しています。
ワンちゃんがいますが、名作椅子たちの脚は齧られていません。躾がしっかりしているのでしょう。

ダイニングの向かいにはキッチン。シンプルな構成です。

ルイス・ポールセンのPH 2/1を窓際に配置。
調味料入れやエッグポットも美しくディスプレイされています。

2階にもお邪魔しました。

階段を上がると大きな絵画が目の前に。作者は不明とのことですがインパクト大。

階段を上がって右に進むと第二のリビングエリア兼ゲスト用の部屋。ゆったり余裕のある空間に名作家具が並びます。

フィン・ユールのBo59とブワナチェア。

ヨー・ハマーボーのデスクランプ/プレジデント。
ハンス・J・ウェグナーのAT303とアルネ・ヤコブセンのセブンチェア。
スヴェン・ミデルボーのヴェローナ。

寝室もお邪魔させていただきました。こちらも名作が並びます。白を基調としたお部屋に家具がとてもよく映えます。

ハンス・J・ウェグナーAP19ベアチェア。
アクセル・ケアスゴーのチェストとミラー、フィン・ユールのBO-62。

一番奥のお部屋は奥様の趣味部屋。アクセサリーを作っているそう。絵になります。

ハンス・J・ウェグナーのCH20。

白を基調としたモダンな室内にデンマークを代表するデザイナーたちの名作がまるでプロのスタイリストがコーディネートしたかのように配置されていました。家具ディーラーゆえに家具に接する機会は多いにしろ、家具や雑貨、アートなど少なからず多からずといった絶妙なバランスで、まるでインテリアの教科書のようにお手本にしたいコーディネートセンスがどこから来るのか終始関心しっぱなしで多くの学びを得ることができました。J氏のセンスの高さに敬服する共に北欧ヴィンテージ家具とモダンな空間の相性の良さ、時代を超えた北欧ヴィンテージの普遍的なデザインの魅力も今回の取材で改めて感じました。豊かなお家時間の参考にぜひしていただければ幸いです。J氏ありがとうございました。

北欧家具tanuki 北島

 

 

 

 

 

デンマーク買付のお土産抽選会の商品発送完了のお知らせ

12月に開催しましたお土産企画。たくさんのご参加誠にありがとうございました。

本日当選者の方に商品を発送いたしました。楽しみにお待ちくださいませ。

当選発表はこの商品の発送を以ってさせていただきます。

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.5 デンマーク暮らしが教えてくれた、ヴィンテージ家具との心地よい空間のつくり方

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第五弾はSさんご一家を訪ねました。お仕事の出向で4年間デンマークで生活され、現地で感じたことをベースに帰国後は団地の一室を家具が映え、余白を楽しめる空間へリノベーション。現地で学んだことや、生活空間に対するこだわりなどを伺いました。


-北欧ヴィンテージはどのように出会いましたか?

Sさん(奥様):主人の仕事の関係で約4年間デンマークに住んでいました。主人の仕事が夜勤の為、日中に時間があり余っていた時に何気なくネットで見つけたアンティークマーケットを見に行ったことがきっかけです。その時にイージーチェアやイッタラのイエローティーマなどを購入し、家に持ち帰って置いてみたら素敵じゃんと。そこからチェストやチェアも欲しくなってきて、ひとつひとつ持ち帰って揃えていきました。

Sさん(旦那様):持ち帰ったものを家に置いてみたら日本から持ってきた家具とどうも釣り合わなくなって、絶対デンマーク家具で統一したいと思いました。それから現地のアンティークマーケットへよく行くようになり、日本の北欧ヴィンテージ家具屋さんの情報を見てデザイナーの名前を覚えたりしているうちになんだか楽しくなってきて、北欧ヴィンテージにどっぷりハマりました。仕事どころじゃなくなりましたね笑

Sさん(旦那様):住んでいた近所にも雑貨屋さんがたくさんあったので、小物もよく購入していました。観光地にももちろんありますが、観光地でない地元の雑貨屋さんでいろいろ探すのが楽しかったです。

長年のコレクションのノギンス社の木製バイキング人形。愛猫に遊ばれないよう高所に配置。

-北欧ヴィンテージのどのような点が気に入りましたか?

Sさん(旦那様):デンマーク家具はデザイナーズ物の造りはよいのはもちろんなのですが、デザイナーズではない無名の家具でもすごくクオリティーが高い。そこがすごい、ちゃんとできているししっかり使える。

現地で購入したハンス・J・ウェグナーのYチェアは刻印がされている最初期タイプ。
カイ・クリスチャンセンのネイルチェア。
ハンス・J・ウェグナーのGE290AとG planのオットマン。

Sさん(奥様):私はどちらかというと末広がりの脚などかわいらしいデザインよりも直線的でシンプルな方が好みなのですが、そういったデザインが気に入っています。脚が長いものが多く、掃除もしやすい。そういうところもすごく考えられているのだと思います。あとはリサラーソンなどの小物はどうしても集めてしまいます。かわいいですよね。

Sさん(旦那様):あとは例えばFDBやボーエ・モーエンセンなど庶民の為にデザインされたものなど、そういった思想が入っているものが好きです。どうだろかっこいいだろというよりも、実直で実用的な点が気に入っています。

ハンス・J・ウェグナーのGE19ベッドとAT12コーヒーテーブル。

-本場のデンマークで感じたことはありますか?

Sさん(旦那様):デンマークで住んでいた家の向かいにご高齢の夫婦が住んでいてたまにものをもらったりしていたのですが、少し玄関を見ただけでもすごいおしゃれでした。額縁などを飾っていたり物はたくさんあるのにバランスはよい。そういったことにとても憧れました。何気ないお家でもそのセンスの高さに驚きました。

Sさん(奥様):奥まで入ったことはなかったのですが、玄関だけでかっこいいなと。あるお家では日本人形を置いてあるのにすごくセンスがよかった。現地に住んでみてどこのお家もセンスが良く、みんなそれぞれがセンスを競っているのかなと感じました。あれいいねと参考になるものを取り入れたりして高めあっている感じはあると思いますし、きっと子供の頃からそういったものを見て育っているので自然とそういったセンスが身についているのかなと思います。日本人とは異なる何かがあると思うのですが、4年間ではそれがつかめなかったですね。

-確かに私もそれは感じます。何の変哲もないお家の中を見たらどの家も想像を超えるセンスの良さで驚きます。

Sさん(奥様):本当にそうですよね。一般人であのセンスは驚きました。

Sさん(旦那様):何気ない雑貨屋さんも本当にセレクトのセンスがよく、こういった感性がお互いを高めていっているのではないかと思います。近年はnomaなど世界的なレストランも出てきてますし、色合いとか飾りつけとか通じるところもあるのではないかと思います。また、フィン・ユール邸にも行きましたが、やっぱり一番のお手本ですよね。ただ、家具は贅沢だが実際の生活は質素。照明は暖色系の明かりがメインで落ち着きますし、控えめでそれがかっこいい。

Sさん(奥様):自国の家具をリスペクトしている感じはあるよね。本当にデンマーク人はデンマーク家具が好きなんだと思う。

豆苗がジャストフィットしているロイヤルコペンハーゲンのスクエアプレート。

-デンマークから帰国することになり、日本で住む物件はどのように探しましたか?

Sさん(奥様):デンマークに住んでいた時から物件は探していて、仕切りがなくある程度広い部屋にしたいと思っていました。素敵なデンマークを見てしまっていたから飾りも置きたいなと思っていて。

Sさん(旦那様):あまり利便性を求めていなかったというか、多少不便な立地でもいいから家に重きを置いてデンマーク家具が活かせる物件を探していました。カストラップ空港の辺りなどの新興住宅地はガラス張りのおしゃれなマンションも多いですが、実際はコペンハーゲンの街中には団地も多い。だから全然団地もいいなと思っていました。

Sさん(奥様):新築で購入してさらにリノベーションをすると費用も掛かりますし、中古のリノベーションで検討していました。デンマークではそれこそ築100年の住宅も普通にペンキ塗ったりして人が住んでいたりする。そんな感じでよかったので中古に対する抵抗はありませんでした。

Sさん(奥様):物件を決めた後はゼロリノベーションさんにリノベーションをお願いしました。全部白くしたい、仕切りをなくしたいなどの私のイメージを全部汲み取ってくれて実現してくれました。

リノベーション・オブ・ザ・イヤー2018で部門別最優秀賞を獲得された内装は白を基調として広い空間が広がります。

Sさん(旦那様):狭い空間に家具が窮屈そうにまとまっているとかわいそうと思ってしまうので、家具にとってはこういった広い空間は絶対必要だと思っていました。仕切りが少ない分、寒さの問題は確かにあります。たぶん知識のある人が見ればここはこうした方がいいですよと言いたいことはたくさんあると思うのですが、気にしだすときりがないですよね。好き嫌いはいろいろあると思いますが、住んでいる人が心地よければそれでいいと思います。何よりも広い空間と白い壁が一番でした。あとは現地の住宅はリビングに重きを置いて寝室は結構小さいなと感じていました。そういった学びもリノベーションに活かしました。

Sさん(奥様):余白のある、余裕を持たせた空間にしたかった。欲しい家具もたくさんあるのですが、その子を活かす置き方ができないと思います。だからそれを買うのであればひとつ手放す、デンマークでの暮らしを通して、そう考えるようになりました

-家具を購入する際はどのように選びますか?

Sさん(旦那様):単品としてというよりも実際に部屋に置いたときのトータルとして考えるようにしていますが、直感も大切にしています。実は先日伺った際にtanukiさんで購入したオットマンも別のお店で他のチェアを検討していたのですが、tanukiさんで見てドはまりしてほぼ即決で購入しました。

Sさん(奥様):確かにうーんと考えてしまうものは結局買っていないです。私はデザイナーズというよりも直感で選んでいますが、主人はデザイナーズに弱いです笑

Sさん(旦那様):ウェグナーと聞くとよりよく見えてしまいます笑。最近購入したハンス・J・ウェグナーのコーヒーテーブルも最初は鉄の脚に違和感があったのですが、ウェグナーと聞いていいなと思いました。

-家具を使う上で気を付けていることはありますか?

Sさん(奥様):ダイニングテーブルの上に冷たい飲み物入れたコップを置くときはコースターを敷いたり、カセットコンロは使わないなど気を付けていますが、シミの失敗は何度もあります笑。子供がお皿をガンガンやったり。でもそれはそれでいいかなと思います。また、例えばこのテーブルがウェグナーなどの高価なテーブルだったらもっと気を遣うでしょうし、無名のテーブルだし子供が何かしてもまあいっかなと思えるものを使っています。イージーチェアが猫の爪とぎにされることもありますが、最悪張り替えればいいかなと思っていますし、細かいことを気にしていたらたぶんデンマーク家具は使えないと思います。リサラーソンも猫に何個も割られていますがこれもしょうがないかなという心持ちです。

愛猫のミミ。

Sさん(旦那様):デンマークで最初にシミを付けたのは玄関のチェストで、猫の花瓶に水を入れて花を飾っていたらいつの間にか漏れていて、こんなことになるんだと学びました笑

シミを付けた猫の花瓶。

Sさん(奥様):花瓶だよというから水を入れて飾っていたらこうなって、あの店主のおやじ!と思いました笑。テーブルの上にコンロを置いて鍋やしゃぶしゃぶはできないけど、できないなりに何とかなります。たこ焼きもキッチンでできますし工夫すればどうにでもなる。デンマークに住んでいたからこそ、そういった考えになったのだと思います。


デンマークで出会った北欧ヴィンテージ家具との暮らしを、日本でも大切に続けているSさんご夫妻。現地で学んだ美意識を日常生活に落とし込み、完璧を求めず気を遣いすぎることがなくほど良いバランスで家具と向き合う姿勢は、私たちに多くのヒントを与えてくれます。チェストについたシミについて語っている瞬間も楽しそうで、こういったことも良い思い出となるのだなと改めて感じました。白を基調とした心地よい空間の中で、これからも家具たちとともに、新たな暮らしの物語が紡がれていくことでしょう。いつも当店のご利用誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.4 『うちのヴィンテージ』を育てるご一家の心地よい暮らし

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第四弾はAさんご一家宅を訪ねました。古着や時計、自転車など様々なヴィンテージ物に造詣の深いAさん。元々はイタリア系のミッドセンチュリーやレザー、インダストリアルなテイストでお部屋をまとめていたそうですが、最終的に北欧ヴィンテージに落ち着いたそう。ヴィンテージの魅力や想いなどについてお伺いしました。


-北欧ヴィンテージ家具はどのようなきっかけで知りましたか?

Aさん:最初はハンス・J・ウェグナーのゴートレザー仕様のYチェアを手に入れたことがきっかけです。住宅を購入して最初の頃はコンランショップやシボネ、イタリアのミッドセンチュリーやレザー、アイアン系でまとめて木製の家具は使用していなかったのですが、ある時、奥さんのお友達から北欧家具tanukiさんの情報を聞いてお店に伺い、このビューローを迎い入れたことも大きなきっかけです。それから北欧ヴィンテージを集め始めかなりお部屋の雰囲気が柔らかくなりました。

当店で初めて購入されたビューロー。奥様の大のお気に入りとのこと。

-こちらのビューロー素敵ですよね。

Aさん:奥さんもとても気に入っています。三段ある引き出しは私と奥さんと子供それぞれが一段ずつ使用しています。引き出しが多いのが本当に助かりますよね。

-こちらのビューローのお気に入りポイントはありますか?

Aさん:完全にデザインですね。形の柔らかさや丸みが他にはないですし杢目も美しいです。

ビューローの中にはAさんのコレクションのヴィンテージウォッチがディスプレイされています。
ブラックライトを当てて蓄光の様子を確認。古いものは光り方が弱いとのこと。
約100年前のロレックス。文字盤が陶器製。
ピーター・ヴィッツ&モルガードニールセンとグレーテ・ヤルクのイージーチェア。
ハスレヴ社/ロイヤルコペンハーゲンのタイルトップテーブル。

-元々のインテリアの系統から異なる北欧ヴィンテージを選ばれた理由はありますか?

Aさん:チーク材などの木材が経年美化するものが好きなのかなと思います。こちらのYチェアは新品で購入しましたがこれから経年美化させたいと思っていますし、最近は真新しいものよりは少しヤレ感のある方が好みです。時間を掛けないと出ない雰囲気が魅力ですし、その雰囲気が出るまでに掛かる時間を含めてヴィンテージ物は価値があるのではと思っています。

ハンス・J・ウェグナーのYチェア。それぞれ奥様とお子様用。

Aさん:真鍮製の照明などはわざと触って経年変化させていい味になっていますし、ビューローに置いてある銀製のベースも触っているうちに虹色が表れてきてきれいなんです。猫に何回も落とされていますけど笑。それも含めさらにヴィンテージにしていく感じです。

-猫ちゃんに落とされるのも歴史のひとつですね。

真鍮を絞り出して作られた照明。経年でよい雰囲気になっています。
ルイスポールセン PH 2/1。

Aさん:あとは置いてあるだけでほっこりするといいますか、眺めているだけでも癒されますし、そういうところも気に入っています。お家時間が楽しくなったと奥さんも言っています。

ロイヤルコペンハーゲンのプレート。

-北欧ヴィンテージ家具を購入する時、どのような点を見ていますか?

Aさん:ほぼインスピレーションですね。いいと思ったらサイズ感とか気にしないで買ってしまいます笑。あと杢目は一点一点異なるので買うときは杢目を見てしまいます。個性があるものがいいですね。また、例えばこのモラーのチェアにしてもフレームの3次元的なカーブだったり、他のチェアでもアームの下の部分が掻き込まれていたり、そういう造形をつい見てしまいますし、見つけたときはグっときてしまいます。

ニールス・O・モラーのModel.64。

-北欧ヴィンテージを使う上で気を付けていることはありますか?

Aさん:全然その辺りは気にしてないですね笑。汚れたら拭くことはありますが、経年させたいところがあるので基本的にはそのまま気にせず使用しています。一緒に時間を過ごして変化させたいなと思っていて、そういう楽しみはあると思います。ヴィンテージで購入してさらにヴィンテージにするといいますか、うちのヴィンテージにするという感じです。

Aさんお気に入りで当店のご近所でもあるコヤナギコーヒーニッポンのスペシャリティコーヒーいただきました。
当店で家具を見てコヤナギコーヒーニッポンでコーヒーを飲みながら家族会議するのがいつものルート。

和室の一角にホルムガードのランプ。

-二階のお部屋にもお邪魔します。こちらはAさんのお部屋ということでしょうか?

Aさん:はい、私の部屋ですが、むしろ猫や奥さん、子供がよく使っています笑。ピーター・ヴィッツ&モルガードニールセンのコーヒーテーブルも真鍮のパーツが使用されているところなどグっときます。

ハンス・J・ウェグナーのゴートレザー仕様のYチェアを窓際に。
当店でメンテナンスさせていただいたアクセル・ベンダー・マドセンのイージーチェア。
ピーター・ヴィッツ&モルガードニールセンのコーヒーテーブル。天板が無垢材なので重く、二階に運ぶのに苦労したそう。
ルイスポールセンのPH 2/2 クエスチョンマークテーブルランプ。

ホルムガードのランプ。
ヴィルヘルム・ラウリッツェンのラジオハウスペンダント。
珍しいデザインのホルムガードのベース。ペンギンのようでかわいい。

-ヴィンテージの自転車も素敵です。

Aさん:一時期は十数台所有していましたが、売却して売ったお金が家具になっています笑

1975年製のピストバイク。

-夜の雰囲気も素敵そうです。

Aさん:ホルムガードの照明は少し明るすぎるので、もう少し暗めになるように真鍮の照明に交換する予定です。次回の買付でぜひ探してきてください笑

-はい、現地で探してみます。

Aさん:いろいろなものを購入してくるとより良いものが欲しくなってよくさまざま探しますが、オークションなどを見ていてもなかなか見つからないことが多いです。そんな中、tanukiさんに伺うと偶然見つかることがある。それが面白いですよね。毎月のように伺っていますが毎回楽しみにしています。


ヴィンテージ愛好家のAさんが辿り着いた北欧ヴィンテージの世界。イタリアンやインダストリアルなテイストから、チーク材の温かみや経年変化の味わいに魅了され、今では暮らしに欠かせない存在となっています。新品の輝きよりも、時を重ねることで生まれる独特の風合いを大切にし、家族とともに自分たちだけの「うちのヴィンテージ」を育てていく姿勢が印象的でした。家具との出会いは予期せぬものかもしれませんが、それぞれの暮らしに寄り添い、新たな物語を紡いでいく。そんな北欧ヴィンテージ家具の魅力が、Aさん一家の心地よい暮らしの中に確かに息づいていました。いつも当店のご利用ありがとうございます。今後とも引き続きよろしくお願い致します。

北欧家具tanuki 北島