ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner)とは

北欧の家具を語る上で避けては通れないハンス・j・ウェグナー。

家具のデザインについて大きな影響を与えた人物で、20世紀を代表する家具デザイナーと言えます。当店でもウェグナーの家具は人気があるものばかりです。このブログで今までも何度かウェグナーについて触れてきましたが、今回は改めてウェグナー自身と、彼の代表作をご紹介致します。

 

■ハンス・j・ウェグナーの生涯

ハンス・j・ウェグナー(Hans Jorgensen Wegner)は1914年、デンマークとドイツの国境の町、トゥナーで生まれました。父の靴づくりを見て育ったウェグナーは幼いころからものづくりの環境で育ち、手に職をつけることを意識して育ちました。ウェグナーは13歳の頃から家具職人H.F.スタルバーグの元で家具の修行を始め、17歳で家具職人の資格を取得しました。デザインの経験もこの頃から積んでいたと言われています。ウェグナーは20歳になるまで家具の修行を行いましたが、兵役のためデンマークの首都であるコペンハーゲンへと出なければなりませんでした。

 

ウェグナーは兵役後もデンマークに残り、コペンハーゲン美術工芸学校に入学します。家具設計を専攻し卒業する1938年まで多くを学びますが、このとき同じくデンマークの家具職人として有名なボーエ・モーエンセン(Borge Mogensen)と出会い、公私にわたり親交を持つことになります。卒業後の1940年、ウェグナーはデンマークの建築家であるアルネ・ヤコブセン(Arne Emil Jacobsen)の事務所に勤務します。その際、アルネ・ヤコブセンが設計したことで有名なオーフス市の市庁舎の設計にも携わり、議会の椅子や婚姻届を受け付ける部屋に置かれるチェアなど、そこに納める家具のデザインも行いました。

 

ウェグナーは1943年に独立し、自分のデザイン事務所を開設します。この頃、ウェグナーは中国の明朝時代の椅子に影響を受けて、後に彼の代表作となるチャイナチェアシリーズの最初となる椅子をデザインします。このシリーズは大ヒットし、改良と量産が重ねられます。

ウェグナーは、その後も数多く名作を残し、1951年にルニング賞を受賞、1997年に第8回国際デザイン賞を受賞するなど、数々の実績を残します。他にもデンマーク王立芸術アカデミーの名誉会員や英国王立美術大学から名誉学士号がウェグナーに贈られています。1995年にはウェグナー美術館がウェグナーの生まれ故郷であるトゥナーに開館します。

 

2007年、92歳でウェグナーはこの世を去りますが、ニューヨークやミュンヘンなど世界中の美術館でその作品は展示されています。生涯500脚以上の椅子をデザインしたと言われるウェグナー。彼のデザインした作品は当時のデンマーク社会、住環境、経済状況などを反映し時代に即したデザインであると同時に、半世紀以上たってもなお古さを感じない普遍的なデザインが魅力であると言えます。

 

■ウェグナーの代表的な椅子・チェア

・CH-29/CH-30 ダイニングチェア

CH-29は1952年に発表されたダイニングチェアです。丈夫な椅子を作るために試行錯誤され、背もたれはエックスの形をしています。また、安楽性が高い構造としてデザインされ、背と座の角度は深く、座の全面部分は広くなっています。
CH-30はシンプルな椅子で、ダイニングチェアの基本と言えるようなデザインです。背もたれに十文字の契りがあることが大きな特徴で、これはウェグナーが見せるジョイント(接合部)としてデザインしたものです。

・FH-4283 チャイニーズチェア

1943年にウェグナーが中国明時代の椅子に影響を受けてデザインしたチャイナチェア。ウェグナー初期の代表作としても名高いFH-4283です。この椅子を期にウェグナーは様々な作品を発表します。1944年から数年間製造されましたが生産中止となり、1963年に再発表されました。細いラインながら座り心地やアーム先端の造形はとても手になじみます。

・PP-550 ピーコック・チェア

孔雀が羽を広げたような形が印象的なピーコックチェア。華やかさに重点が置かれているように見えるこの椅子ですが、人間工学的にも優れた形状をしています。背部は肩甲骨と重なるように位置が考えられ、座り心地を追及されています。

・PP-501 ザ・チェア

ウェグナーの作品の中でも完成度が高いと評価が高いザ・チェア。椅子の中の椅子という意味を込められ、ザ・チェアという愛称が付いたほどで、北欧の椅子の中でも代表的な存在と言えるでしょう。また、1960年に大統領選でジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビ討論会でこの椅子が使用されたことでも有名です。

・CH-24 Yチェア

世界で最も売れた椅子と言われるYチェア。バリエーションの豊富さも人気の要素の一つで、フレームはビーチ・アッシュ・オーク・チェリー・ウォールナットの5種類あります。用途も広くダイニングチェアからデスク用チェアとして利用できます。

・PP-505 ザ・カウホーンチェア

肘部が牛の角(カウホーン)のようだから、ザ・カウホーンチェアと名付けられた椅子は、ちょうど良い長さの肘と背もたれの曲線が非常に特徴的です。籐張りの座面や背もたれを支える構造は高い技術によってのみ作ることができます。

・PP-250 ヴァレット・チェア

オブジェであるかのように、特殊な形状をしたヴァレット・チェア。背部はハンガーのように使用ができて、引き上げることができる座面はスラックスを掛けることができます。座面の下にも小物を入れることができるなど、デザイン性だけではなく便利な椅子。一つの椅子で身の回りのものを片付けることができるため、バレット(召使)やバチェラーズ(独身者)とも呼ばれます。

■まだまだあるウェグナーの家具

これら以外にもウェグナーのデザインによる人気家具はたくさんあります。またの機会に詳しくご紹介できればと思います。

当店でもウェグナーの椅子を取り扱っていますので、このブログを見てウェグナーに興味を持たれましたらぜひご来店ください。

 

北欧家具tanuki 北島

新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

新年最初の営業日、早速お店オープンしております。

そして、年末ぎりぎりの入荷でお知らせができませんでしたが、

年末にイギリス便入りまして、アーコールやG planなどの商品が入荷しております。

お探しの商品がございましたらご遠慮なくお問い合わせくださいませ。

よろしくお願いいたします。

 

北島

 

 

 

年末年始の営業日のご案内

もう今年も1週間で終わりです。

早いものです。

【年末年始の営業日のご案内】

通常金曜日は営業日となりますが、

12月29日(金)はアポイントメント制でのオープンとなります。

12月26(火)~29日(金) アポイントメント制 オープン

12月30日~1月4日(木) 休業

1月5日(金)~ 通常営業

となります。

休業中にいただきましたお問い合わせやご注文のご返信は1月5日より順次ご対応致します。

よろしくお願いいたします。

 

北欧家具tanuki 北島

 

ボーエ・モーエンセンのブックシェルフについて

当店でも良く買い付けるブックシェルフ。本来の目的はもちろん本を収納するものですが、陶器をや小物を飾ったりディスプレイを楽しむ家具としても重宝します。ビンテージの北欧家具の中でも探しておられる方も多く、これからも皆様にご紹介できるように買い付けていこうと思っておりますが、そんな中、当店でもよく問合せのありますブックシェルフ、webショップに掲載する前に売約済みとなりましたが折角なのでブログに残しておきたいと思います。

 

こちらのブックシェルフはボーエ・モーエンセン/Børge Mogensenのデザイン。ボーエ・モーエンセンらしいシンプルで実直なデザインで、斜めの支えが入った脚がアクセント。ここで簡単にボーエ・モーエンセンについておさらいしてみます。

 

■ボーエ・モーエンセン/Børge Mogensen

ボーエ・モーエンセンは1914年オールボーにて生まれる。1934年に家具職人の資格を得、技術訓練校、美術工芸学校を経て、最終的に王立美術アカデミーで1936~1942年まで家具作りについて学ぶ。デンマークデザインの父とよばれるコーア・クリントやモーエンス・コッホの元で家具の単純化について学び、デンマーク協同組合連合会の家具部門に勤務、国民の椅子と呼ばれるJ39を発表、1950年からは自身のデザイン事務所でフレデシア・ファニチャー社、フリッツハンセン社、スボー家具工場の為の家具を手がけた。

ボーエ・モーエンセンの代表作といっていいJ39は、彼の信念『なるべく低価格で実用的な家具を作る』をよく表す一脚です。ボーエ・モーエンセンの作品はシンプルで実用的な作品としてビンテージ北欧家具の中でも人気のあるデザイナーの一人です。

 

■ボーエ・モーエンセンのブックシェルフ

そんなボーエ・モーエンセンのブックシェルフはいろいろ種類があるのですが、今回はこちらのブックシェルフをご紹介。近年ではなかなか買付が難しくなってきましたこちらの脚付のブックシェルフ。奥行が26cmと比較的薄く作られ圧迫感がない割に、収納力は抜群です。

■ボーエ・モーエンセンのブックシェルフのデザイン

ビンテージ北欧家具といえば曲線が美しいものが多いのですが、ボーエ・モーエンセンの作品たちは直線的なデザインが多く、シンプルで実直な印象です。そんな中でも斜めの支えがアクセントになり、シンプルだけど一癖あるそんなデザインが素敵です。

■ボーエ・モーエンセンのブックシェルフの材

こちらのブックシェルフはオーク材のものが多く見受けられます。現地ではローズウッド仕様の贅沢なブックシェルフも見かけたことがありますが、今回ご紹介のチーク仕様もなかなか貴重な一台かと思います。向かって左側の脚はオーク仕様ですが、向かって右側のブックシェルフは脚もチーク仕様。折角2台ありますので、ここで見比べたいと思います。

左の脚はオーク材、右はチーク材。

こちらは本体がチーク材、脚がオーク材。

こちらは双方ともチーク材仕様。

これは好みによると思いますが、チーク×オークタイプのブックシェルフは2トーン的に色の違いを楽しめ、チーク仕様は色味が統一され落ち着きがあるように感じます。

今回のこちらのブックシェルフの背板は美しい木目が出ていました。本で隠れてしまうところに美しい木目があるのは何とも贅沢です。

■ボーエ・モーエンセンのブックシェルフの収納力

棚の位置は調整ができるのでさまざまな大きさのものの収納に対応しています。内寸の奥行は25cm。A4サイズの雑誌などもすっきり収まります。

こちらのブックシェルフ、今後も皆様にご紹介できるように頑張りたいと思います。

買付をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

 

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