北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。
第十五弾はデンマーク現地の様子をお届けします。お伺いさせていただいたのはフラワーアーティストのKarenさん宅。北欧ヴィンテージから現代作家の作品まで、様々な要素を取り込みながらもまとまりのある生活空間から心地よい生活のヒントをたくさん学んだ取材となりました。
Karen宅は戦前に建てられたもので、戦時下はドイツに接収されたものの終戦後に再びデンマークが奪還し、現在住まわれているKarenさんご一家が3代目の住人として暮らしている。当時は使用人を雇うほどの裕福な一家が建てたとのことで、建物内に使用人が使うための専用の階段や導線、各部屋に呼び出しの為の呼び鈴まで作られていたとのことで所々に歴史を感じる邸宅であった。
まず玄関を抜けるとダイニングエリアへ。広々とした空間にアルネ・ヤコブセンのアーム付きエイトチェアにピート・ハイン、ブルーノ・マテソン、アルネ・ヤコブセン共作のスーパー楕円テーブル。ご自身で塗られたという壁の青と緑が混ざったような絶妙な色合いの壁、赤いチェアとルイス・ポールセンのコントラスト、庭の緑の配色が絶妙でお互いを引き立てているよう。派手な赤色のエイトチェアもコントラストの赤色が入ることで浮かずに空間に調和している。
ラグで覆われて見えないが、このラグの下の床にも使用人を呼び出す呼び鈴のスイッチが残されている。





美しい庭は手入れが行き届いている。こちらのお宅も窓にカーテンがなく、外とのつながりを感じやすくなっている。




リビングから玄関方面へ。



再びお部屋に戻りキッチンへお邪魔します。このキッチンは元々使用人しか使わない設計で仕切りの壁があったが取り壊してリノベーションをしたそうです。
キッチンの窓辺に照明を吊るすのがデンマーク流。外から見た時にちょうど美しく見える位置に配置されている。


ダイニングエリアを抜けてリビングエリアへ。ご自身で塗られたという青い壁が印象的。



窓の向かいには巨大な絵画。作者は不明とのことですがインパクト大です。

暖炉を囲むエリア。クラシックなステンドグラスからスペーシーなVP グローブまで様々なテイストのものでコーディネートされている。




暖炉エリアの向かいの窓際スペース。たくさんのアート作品や小物が空間に彩りを与えている。





階段を上がって二階にお邪魔します。



5人家族のKarenさん。長女さんのお部屋ものぞかせていただきました。生活感はありながらも雑然としておらず、すっきりしています。
寝室にお邪魔させていただきました。

長男さんのお部屋。ヴィンテージ家具は使われていませんが、デンマークのセンスを感じるすっきりとした清潔感のあるお部屋です。
先にも説明した通り、元々住み込みの使用人を雇う前提で設計された邸宅のため、使用人専用の階段が存在していて、住人のプライベートエリアに入れないようになっていたとのこと。

地下室へお邪魔します。倉庫として設計されたようですが、奥へ進むと、

バースペース。テーブルの天板を取り除くとビリヤード台が現れます。

今回はじめてお伺いし初対面となりましたが、丁寧に家中をルームツアーしてくださり終始感動しっぱなしの取材となりました。すべてが美しく、均整の取れたコーディネート、絵画や小物のセレクトセンス、その配置。どこを切り取っても参考にしたくなる美しいコーディネートでした。 私自身も含め、北欧ヴィンテージで揃えようとするとどうしてもチーク材一辺倒になりがちですが、様々なテイストをミックスしたスタイルや、真っ赤なエイトチェアのような大胆なコーディネートも取り入れてみることをお勧めしたくなるほど、印象的な光景でした。また、日が当たる窓際に小物を飾ることによりガラス小物が引き立ったり、陰影の美しさが際立ったり、時間によって見え方が変わるという点も取り入れやすいのではないでしょうか。たくさんの心地よい暮らしのヒントを学べた貴重な機会となりました。Karenさんありがとうございました。
北欧家具tanuki 北島