当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具にはデザイナーズからアノニマスのものまでさまざまなデザインが存在し、シンプルな物から構造的にそれ意味ある?という奇抜なものなど多種多様なものが作られてきました。北欧ヴィンテージ家具といえば丸みを帯びた曲線の柔らかさが特徴のものも多いのですが、その中でも特に曲線の美しさに定評のあるデザイナー、ヨハネス・アンダーセン。チェア以外にもチェストやサイドボードなどさまざまデザインしましたが、その魅力を最も感じられるチェアの魅力を今回はお伝えいたします。
ヨハネス・アンダーセンとは?
ヨハネス・アンダーセン(Johannes Andersen)は1903年デンマークのオーフスで生まれ、1922年に家具職人としての認定を受けます。1930年代半ばに自身の建築会社を設立、Trensum、CFC Silkeborg、Bramin、UldumMøbelfabrikなどの企業と協業しさまざまな家具を作り出しました。
有機的で美しい曲線を多用したヨハネス・アンダーセンの家具達は、デザイン性と実用性を兼ね備えており、北欧ヴィンテージ家具のとして日本をはじめ世界的に人気があります。代表作は1957年デザインの通称UFOテーブルやスマイルテーブルと呼ばれるコーヒーテーブルです。
北欧ヴィンテージ家具の真骨頂?ヨハネス・アンダーセンの魅力とは?
北欧ヴィンテージ家具界隈のなかでハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールといった大御所とは異なり、知名度ではやや劣る印象のヨハネス・アンダーセンですが、それゆえ玄人好みな隠れた名作も多く一度知るとその魅力に引き込まれるという方も多いはず。そんなヨハネス・アンダーセンの魅力とは?
①滑らかな曲線の美しさ
②実用性と美しさを兼ね備えた構造美
③佇まいと後ろ姿の美しさ
①滑らかな曲線の美しさ
まずはなんといってもヨハネス・アンダーセンの魅力はその曲線の美しさにあります。曲線を多用した北欧ヴィンテージ家具の作品はたくさんありますが、その中でもトップクラスの曲線の美しさを持っていると思います。まずは画像にてその美しさをご覧ください。


ヨハネス・アンダーセンのチェアの代表格のこちらのチェア。北欧ヴィンテージ家具業界でも定番のモデルですが、背もたれから座面に伸びるアームの滑らかさは、木を削り出して作られているように見えないまるでガラス細工のような滑らかさ。この細く丸みを帯びたアームは、座った状態で少し椅子を前に出したいときに手で持つとしっくりくる位置・角度になっており、しかもとても手に馴染む造形で、ついつい触りたくなってしまうほど。

特にこちらのモデルのぐぐっとくるポイントは上記画像の座枠にそっとやさしく触れているかのようなアーム先端のデザインで、手間をかけて丸く削り出して作られた造形にデザインのこだわりを感じます。加えて、背もたれも丸みを帯びており、アームから背もたれに掛けてのラインが非常に美しくデザインされています。北欧ヴィンテージの中でもさまざまなチェアが存在していますが、その曲線の美しさで右に出るものはなかなかないのではないでしょうか。
もう一脚ご紹介いたします。こちらはJulianと呼ばれるチェアですが、こちらも木を削り出して作られたとは思えない曲線を持っています。

この滑らかさを木を削って表現する、しかも量産するという技術力に感謝です。
②実用性と美しさを兼ね備えた構造美
ヨハネス・アンダーセンのチェアの魅力は曲線的な美しさに加え、それが実用性も兼ね備えている点。こちらのBA-113というモデルでは、ヨハネス・アンダーセンの特長である曲線を多用しつつ、実用性にも優れたチェアとなっています。
こちらのヨハネス・アンダーセンBA-113はいわゆるハーフアームという通常は座面の先端くらいあるアームを半分ほどにしたチェア。テーブルの高さなどが問題でチェアがテーブル下に収納できないという点をアームチェアという機能を犠牲にすることなく解決したチェアですが、まずはアーム先端の造形を見てください。よく見ると少し上向きになっていて、実はこれのわずかな傾斜があることにより腕馴染みが格段に上がり、とてもしっくり腕に馴染んでくれます。また、アームを支える支柱も丸みを帯びたデザインで、且つその支柱の根本部分も強度を保つために少し盛り上がった造形になっています。このチェアとしての強度と美しさを兼ね備えたデザインは本当によくできているなと感心します。このような機能美を随所に感じることができる点もヨハネス・アンダーセンのデザインの魅力です。


③佇まいと後ろ姿の美しさ
上記のように細かい部分に加え、全体で見た時のシルエットも美しいヨハネス・アンダーセンのチェア。普段実生活の中でチェアはテーブルに収まっていますので、なかなか正面から見る機会はないので、ひとつのチェアの選び方として後ろ姿の美しさでご検討いただくのもよい要素かと思います。その後ろ姿の美しいチェアをヨハネス・アンダーセンはたくさんデザインしました。ぜひお気に入りの一脚を見つけてみてください。


北欧ヴィンテージのチェアをお探しの場合はヨハネス・アンダーセンのチェアもぜひご検討を
ヨハネス・アンダーセンは北欧ヴィンテージ家具の中でもハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールなど王道なデザイナーとは異なりややマイナーなデザイナーではありますが、その魅力は全く王道のデザイナーに引けを取らず、むしろ北欧ヴィンテージの魅力のひとつである曲線の美しさを最も体現するデザイナーの一人です。北欧ヴィンテージのチェアをお探しの際は、ぜひヨハネス・アンダーセンの作品もご検討してみてはいかがでしょうか。ヨハネス・アンダーセンのチェアは当店でも人気が高く、常に在庫がある状況ではございませんが、今度もさまざまなヨハネス・アンダーセンのチェアをご紹介していきたいと思います。
北欧家具tanuki 北島