絵画を飾るように楽しめる。ロイヤルコペンハーゲン社のタイルが敷き詰められたハスレヴ社のコーヒーテーブルの魅力

当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具。半世紀以上前にデザインされ今もなお製造され続ける名作から当時数年間しか製造されずヴィンテージでしか入手できないモデルまでさまざまなモデルが存在します。今回ご紹介のロイヤルコペンハーゲン社のタイルが敷き詰められたハスレヴ社のタイルトップテーブルもヴィンテージでしか手に入れられない一品で北欧ヴィンテージ家具の定番商品のひとつ。タイルの趣に加え、実用性も高いタイルトップテーブルの魅力をまとめます。


ロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社のコラボ作品の基本

当店でも買付の度に現地で見つければ買い付けるハスレヴ社のコーヒーテーブル。いろいろなバリエーションが存在しますが、定番はこちらのデザイン。至極シンプルで直線を基調としたデザインにタイルが張られたものが基本です。脚は先窄みとなっており、野暮ったい感じがなく洗練された印象。脚を天板を繋ぐ留めは接着剤で固定されているため、金具などが裏面にもないすっきりとしたデザインで作られています。天板は上記画像のように全面にタイルが張られたものから一部のみというものも存在します。

このデザインを基本に引き出し付きモデルやワゴン、サイドテーブルやネストテーブル、チェストやミラー、はたまた珍しいデスクまでいろいろなバリエーションが存在します。

コーヒーテーブル

基本のコーヒーテーブル。幅が110~150cmのものが多い。

サイドテーブル

当店でも一番人気の小型のサイドテーブル。ソファ横やベッド脇にぴったりなサイズ。

タイルをよく見るとロイヤルコペンハーゲン社のマークが入っていることも。

当店でも特に人気のTENERAの青いタイルが使用されたモデル。濃いローズウッド材と鮮やかなタイルの対比が美しい。

ネストテーブル

こちらはネストテーブルのタイプ。すべての天板にタイルがあるものと、一番大きいテーブルのみにタイルがあるものも存在する。

ワゴン

ワゴンタイプの一品。

デスク

かなり特殊なタイルトップデスク。その道数十年の現地のディーラー曰く今まで見たことがないとのことで、特注品ではないかとのこと。
当然天板はタイルなのでボコボコ。筆記作業する際はなにかマットを使用していたのでしょう。

豆知識

天板裏にロイヤルコペンハーゲン社のバッチが張ってある場合もあります。
普段は見られないタイルの裏側はこのようになっています。こちらはアルミニア時代のものですが、ひとつひとつにサインが入っています。

ロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社のコーヒーテーブルの魅力

その美しさに加えタイルならではの魅力があるタイルトップテーブル。そんなハスレヴ社のコーヒーテーブルの魅力は以下にまとめられます。

①タイルの美しさ

②タイルの柄のバリエーション

③水や熱に強い

 

①タイルの美しさ

まず最大の魅力はやはりそのタイルの美しさ。ロイヤルコペンハーゲン社のBACAシリーズやTENERAシリーズのタイルは現在のロイヤルコペンハーゲン社の製品とは趣が異なり、ハンドペイントのためひとつとして同じ柄が存在せず、それ故の暖かみを感じる点がヴィンテージならでは魅力。お部屋に置くだけで絵画を壁に飾るように楽しめます。

最もスタンダードなBACAのタイルを使用したタイプ。

②タイルの柄のバリエーション

当時ロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社とのコラボにおいて使用されたタイルは様々あります。基本のBACAのタイルを始め、鮮やかな青みが魅力のTENERAのタイルなど、色味や柄もさまざま。ぜひお気に入りを見つけてみてください。

TENERAの青いタイルを使用したタイプは特に人気のモデルで、入荷直後に売れてしまうことがほとんど。
緑のタイプも落ち着きがあって素敵です。

③水や熱に強い

天板にタイルを使用していることのメリットとしては当然水や熱に強い点が挙げられます。木の天板のテーブルなどでは輪シミや熱による色味や艶の変化などが発生する場合がありますが、タイルであればそのようなことを気にせずに使えます。水に濡れてもさっと拭くだけでお手入れも簡単です。

ロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社のコーヒーテーブルの注意点

魅力たっぷりのロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社のコラボテーブル。特段購入にあたっての注意点はないのですが、購入を検討の方に念のため知っておきたい注意点をまとめます。

①重い

タイルを使用しているので当然ではありますが、木を使用したテーブルと比べると重いです。小さ目のサイドテーブルであれば女性一人でも簡単に持ち運べますが、大きめのコーヒーテーブルなどはかなり重いので、運ぶ際は大人二人以上で作業を行いましょう。

935mm角のコーヒーテーブル。このくらいのサイズになると大人一人で持ち上げるのは困難です。

②破損注意

タイルを使用していることもあり、テーブルを落としたりタイルの上に物を落とすなど、強い衝撃を受けた場合はタイルが割れたり剥がれる可能性があります。タイルの剥がれは元に戻せますが、割れの跡は完全に修復はできません。当店でもこれまで配送中にタイルが剥がれてしまったことがありますが、普通に使用していればまずこのようなことは起こりませんのでご安心ください。


北欧ヴィンテージ家具の定番の人気商品であるロイヤルコペンハーゲン社とハスレヴ社のタイルトップテーブルは、実用性と美しさを兼ね備えた一品です。ハンドペイントされたタイルは、BACAやTENERAシリーズを中心に多様なデザインがあり、唯一無二の温かみが魅力。タイル天板は水や熱に強く、日常生活での使い勝手も抜群です。ただし、タイルの構造上、テーブルは重く、取り扱いには注意が必要です。また、落下や強い衝撃でタイルが割れる可能性もあるため注意が必要です。ヴィンテージならではの価値を感じつつ、実用的に使える点が多くの支持を集める理由です。お部屋に絵画を飾るようにぜひご自宅に取り入れてみてはいかがでしょうか。

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.11 自ら手直しして永く使う。北欧ヴィンテージや古いものとの心地よい暮らし方。

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第十一弾はIさん宅を訪ねました。北欧ヴィンテージ家具を中心に、アンティークや趣のある小物たちを配した空間で、物を大切に使い続けることの豊かさを実践されているIさん。メンテナンスを楽しみながら愛着を持って暮らす姿勢から、これからの時代における心地よい暮らしのヒントを得る取材となりました。


-北欧ヴィンテージ家具はどのようなきっかけで知りましたか?

Iさん(旦那様):現在住んでいる家を建てる話になった時に、新居に合わせる家具を探す段階でいろいろな家具屋さんを巡っていました。その中で北欧家具tanukiさんを知って見に行きその時に北欧ヴィンテージを知りました。

Iさん(旦那様):元々アンティーク物や軍物が好きで、イギリスやフランス、ベルギーなどのヨーロッパものを扱うお店によく行っていました。アンティーク物はずっと長く使う目線で丈夫でシンプルなものが好みだったのですが、北欧ヴィンテージはその飽きの来ないシンプルさに加えて木材の経年変化の美しさや機能的で長く使える実用性も優れているという印象で、それまでそういったものをあまり見たことがなく興味が沸きました。

-確かにこちらのSvend Age Madsenのダイニングテーブルはそれを体現したようなテーブルですよね。

Iさん(旦那様):まさにこのダイニングテーブルがそうですよね。エクステンション天板内蔵の丸テーブルはいろいろ調べてみていいなと思っていて、その機能がありながらこの丸みを帯びたデザインのテーブルをtanukiさんでみたときなんだこれは!と思いました笑。その時見たテーブルは売約済みでしたが、同じテーブルの買付依頼をさせていただき、数年越しで見つけていただきました。

エクステンション天板内蔵のSvend Age Madsenのダイニングテーブル。丸みを帯びたデザインが素敵な一品。

日本国内でも限定で発売されたPH3 1/2-3ペンダント(真鍮特注ソケットカバー+乳白ガラス)。当時すでに国内では入手ができず、当店に買付依頼をいただきデンマークから直接買い付けしました。

Iさん(旦那様):エクステンション天板内蔵タイプはイギリスのものだとまだ数はあるけどデンマークのものだと全然見つからないですし。そういうのも面白いなと思いました。テーブルに合わせてあるこのヨハネス・アンダーセンの椅子もディテールや曲線がきれいで気に入っています。

ヨハネス・アンダーセンのBA-113チェア。
こちらもヨハネス・アンダーセンのチェア。

Iさん(旦那様):今回届けていただいたヨハネス・アンダーセンのネストテーブルも全体に丸みがあって気に入っています。いずれはいろんなところに散らばらせて使いたいと思っていて、いろいろな使い方ができるのがネストテーブルのいいところですね。

Iさん(奥様):置いておくだけでもいいよね。絵になります。

今回お届けしたヨハネス・アンダーセンのネストテーブル。

-北欧ヴィンテージを選ぶ上でどのような点を見ていますか?

Iさん(奥様):私はデザインかな。

Iさん(旦那様):私もデザインですね。ちょっと面白いデザインをしているとかそれに加えて機能面も見ています。伸びるとかベッドになるとか。好きなデザイナーもいますが、最初はデザイナーを知らずに気になった家具がどのデザイナーだろうと調べていくと良いデザイナーを知ったりする感じです。元々集めていた軍物やアンティークものにも雰囲気が合うというか、他のものを邪魔しないというかそういうところもよいと思っています。

-前回訪ねさせていただいてから観葉植物が増えましたね。以前他の取材先で小さいお子様が植物にいたずらしてしまって置けないという方がいらっしゃいましたが、特に問題はないですか?

Iさん(奥様):今子供が4歳で興味はあるようなのですが、睨みを利かせるではないですが触らないでねとしっかり伝えると触らなくなりました。小さい頃はやっぱり触ってしまいましたが、最近は言うことを聞くようになったので4歳になってから植物は増やし始めました。

Iさん(旦那様):最初の頃は知らない間に触っていたこともありましたが、最近は言うことも理解できるようになってきたのでもう触っていないですし、今は水をあげたり手伝ってくれるようになりました。成長に従ってうまく共存は出来ています。

-北欧ヴィンテージ家具を小さいお子様がいらっしゃる環境で使用する際に気を付けていることはありますか?

Iさん(旦那様):最初はテーブルや床にシートはしていなかったのですが、フォークで天板を引っかいたりしたことがあって一応シートを敷くようにしました。そのほかにも椅子を噛んだりしたこともありましたが笑、そんなに気にしていないというか、もうしょうがないよねという感じです。なにかあればオイルを塗ったり自分たちでメンテナンスすればいいし、どうしようもなくなったらtanukiさんにお願いすればいいかなと思っています。

お子様の歯形。

Iさん(旦那様):デイベッドもバンバン飛び跳ねたりすることもありますし、汚れたりすることもあると思いますが、そういう時は余った生地でパッチワークのように縫ってもいいと思いますし、そのくらいの感覚です。家で使うものなので気にしすぎても疲れてしまうし、リラックスして使いたい。できる対策はしますがそれ以上のことは気にしていないですね。元々古いものを好きで使っているので、なにかあったら修復しながら使っていけばいいみたいな感覚です。

ハンス・J・ウェグナーのデイベッドGE-6チーク材仕様。
照明のスイッチ類もアンティーク物を使用。

今後取り付け予定の照明や小物類のコレクション。

眼鏡フレームのコレクション。

-こちらのご自宅も素敵です。お家を建てられるにあたりこだわったポイントはありますか?

Iさん(旦那様):うちはほぼほぼお風呂以外は施主支給で自分たちで用意しました。自分たちで手を加えて完成させたいという気持ちもあり、また使っていくなかで何かあった時に自分たちで修理できたりするので、長い目でみてメンテナンスできる点を考慮しました。

Iさん(奥様):私は元々和裁や洋裁をやっていて作るのは基本的に好きなので、手直しを自分たちでしたいという気持ちでした。自分たちでいろいろやると決めて、その靴棚なども自分たちで作りました。

-自分たちで手直しして使い続けるという点は北欧ヴィンテージ家具との接し方に通ずるものがありますね。

Iさん(奥様):言われてみればそうですね笑

Iさん(旦那様):かっこいい感じになってきたね笑

Iさん(旦那様):土間にミシンがありますが元々2年間くらい教室に通っていたことがあり、靴の修理もできます。革靴は靴底を交換すればまた長く使えますし、そういう感覚は家具をメンテナンスして長く使うなどの感覚とも近いかなと思います。

 

-北欧ヴィンテージを使う上で不便な点などはありますか?

Iさん(奥様):あんまりないよね、というか全然ない?いいねしか言っていない気がする笑

Iさん(旦那様):ないよね。買う前にはかなり調べてから買うのである程度どういったものかを把握して購入しているので全然ないですね。間違いない状態で買いたいので海外サイトとか翻訳して調べたりもします。あとはtanukiさんのようなプロに聞いたりしてますし、そんなない、というかないです笑。逆に皆さんどういった点を気にされるのですか?

-例えばテーブルの水シミや傷などをつけないようにするとか、水分が付いたときにはすぐに拭きとるように心がけるとか。

Iさん(旦那様):ある程度私たちは許容できるんだと思います。傷やシミなども経年変化のひとつという感覚ですし、よっぽど気になったらオイルでメンテナンスすればいいかなという感じです。まとめるとおすすめしかできないです笑

サイドボードの天板に穴をあけて洗面台として使用。海外のInstagramアカウントで事例を見つけ参考にした。壁面は未完成でご自身で漆喰を塗る予定。
デンマークヴィンテージのタイル付きミラー。

Iさん(奥様):最近行ったリサイクルショップで子供がキッチンを見て、これ使いやすいよねとか、色がいいよねとか身の周りのものに興味を持ってくれるようになりました。家具についても興味が出てきたようで家具屋さんにも一緒に連れていくのも悪くないなと思いました。蚤の市にも連れて行ったりしていろいろ見せているのもあるのかもね。

Iさん(旦那様):蚤の市でも高いものもあるのでいろいろ触らせるのも怖かったりするので、最終的には安いトミカを買って落ち着かせるのですが笑。今回購入したネストテーブルのことも子供に話したら興味を持ってくれるし、小さいころからこのような家具に触れさせるのもいいのかなと思いました。

Iさん(旦那様):ダイニングテーブルやランプを始めとして買付依頼をさせていただいたものもなんだかんだ見つけていただいていますし、その待っている時間も楽しみにしています。あとは、お店に伺った際はキッズスペースに助かっています。

Iさん(奥様):あれがなかったら大変だよね笑

Iさん(旦那様):今後は食器も集めていきたいと思っているので次回の入荷も楽しみにしています。


北欧ヴィンテージ家具をはじめ、各国のアンティークや古いものと共に暮らすIさん宅には、住宅や家具、身の回りのものも自身でメンテナンスしながら大切に使い続けたいという価値観が暮らしの隅々に息づいています。経年変化を受け入れ深みのあるものたちとの共存を楽しむ、自分たちでケアすることを大切にする暮らしぶりは心にゆとりを与え、より豊かな生活を育んでいるように感じました。物が溢れる現代社会だからこそ、ひとつの物を長く使うという豊かさに改めて気づかせてくれる取材となりました。いつも当店のご利用誠にありがとうございます。今後とも機会がございましたら当店をよろしくお願い致します。

北欧家具tanuki 北島

 

【tanuki journal】No.10 古民家と家族のストーリーを紡ぐ名作家具の空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第十弾は杉山さん宅を訪ねました。移築した古民家の広い空間にデンマークの名作家具から日本の大正時代の照明まで国籍を問わず古いものを集められている杉山さんご夫婦。数年前に北欧雑貨と手作りごはんのお店『.gut(テングート)』をオープンし二拠点生活をスタート。古民家のことから家具選びまでいろいろ伺いました。


-北欧ヴィンテージ家具はどのようなきっかけで興味を持ちましたか?

杉山さん:元々は水屋箪笥など日本の古い家具から好きになり、いつからは覚えていませんが北欧の家具も集めるようになりました。当時北欧家具は日本の無垢材の家具とは違い張物のようなイメージがあり評価していなかったのですが、娘や3人いる孫たちをベアチェアに座らせたら楽しいだろうなと、そういう光景を見るのも幸せですし、そういうストーリーや将来の夢のようなことを考えられる家具だと感じ、いつかはベアチェアは欲しいと思うようになりました。仕事の関係でドイツに赴任中に現地オークションで購入し、帰国と共に持ち帰りました。デンマークのオークション会社でしたが、ベアチェア自体はドイツにあり、実際に見に行って状態を確認したうえで落札しました。

ハンス・J・ウェグナーのAP19ベアチェアとAP29オットマン。

ハンス・J・ウェグナーのAP19ベアチェアとAP29オットマンをもう一組。

ハンス・J・ウェグナーのAT50サイドテーブル。

このほかドイツではデスク用のフィン・ユールのチェアや寝室にあるRY20なども購入し持ち帰りました。ダイニングに合わせてあるチェアもドイツで購入しましたが、座面が広く胡坐をかいて座れる点が気に入っています。

Svend Age Madsenのデスクにドイツで購入したフィン・ユールのチェアmodel197。
広い座面で胡坐を掛けるチェア。

-実用的な家具というだけではなくご家族の思い出やストーリーの一部になる。素敵です。

杉山さん:いずれは娘夫婦に引き継いで、それから孫たちにも引き継いでもらいたい。孫は3人いるのでどのように引き継いでもらうか悩みますね笑

-こちらの古民家も素敵です。どのような経緯で建てられたのでしょうか。

杉山さん:元々この土地に建てられていた中古の物件にしばらく住んでいました。古いものが当時から好きだったので、建て替えの話が出た時に古民家の移築がいいねということになりました。通っている骨董屋さんの知り合いで建築デザイナーとして古民家再生を行うドイツ人のカール・ベンクスさんをご紹介いただき依頼しました。

杉山さん:普通の古民家の移築と違って、元の状態を再現するのではなく、設計・デザインをし直した上で組み替えるという手法で移築しました。そのため、柱の所々に元々は違う組み方をしていたのではないかという穴が開いていたりします。ベンクスさんに依頼した際は、特にこの建物の縦のラインを活かしたデザインにしていただきました。ちなみにベンクスさんの出身地は私たちが赴任していた都市と同じで縁も感じました。この移築した際に記念としてフィン・ユールのNo.45を購入しました。

フィン・ユールのNo.45とハンス・J・ウェグナーPP52。

細かい作りこみの台湾製の古い提籃。

-コーディネートされている小物類もいろいろなものがありますね。

杉山さん:古いものは国籍を問わず自分たちが気に入ったものを並べています。ドイツ赴任時や旅行先の骨董屋さんで購入したりしています。日本の古いものは大正時代のものが中心で、骨董屋さんや骨董市で集めてきました。

イギリスのスミス製電気式時計。なぜか100Vで動いているとのこと。

ハンス・J・ウェグナーのAP30ピアノスツール。

-北欧ヴィンテージ家具を使用する上で気をつけていることはありますか?

杉山さん:やはり水と熱には気を付けていて、ダイニングテーブルは普段は布とトレーを敷いて使用しています。鍋をする際は厚めの鍋敷き敷いて天板に熱が伝わらないようにしていますし、あとはオイルでのメンテナンスも行っています。オイルを入れると色味や艶も蘇りますし、そういう風にメンテナンスできるところがいいですよね。

ヨハネス・アンダーセンのダイニングテーブル。

現行品にはない直径45cmタイプのVerona。光が柔らかくお気に入り。
ハンス・J・ウェグナーのAT48 ワゴン。
ロイヤルコペンハーゲンのテーブルランプ。

-当店でご購入いただきましたダイニングテーブル、お届け当時のままのようで状態がとても良いですね。

杉山さん:このデイベッドもtanukiさんで購入させていただきましたが、本当に状態がよく、逆によくここまで残っていたなと思います。

ハンス・J・ウェグナーのGE259デイベッド。

杉山さん:感覚的なことですが、tanukiさんがメンテナンスした家具は縁のラインの出方がきれいな気がしていて、そういったメンテナンスの質も気に入っています。感覚的なので何の違いかよくわかりませんが笑。二階にあるRY20もいつかメンテナンスをお願いしたいと思っています。


古民家の趣とヴィンテージ家具が見事に調和した杉山さん宅。北欧の名作家具から日本の大正時代の照明まで、国や時代を超えて集められた品々には、それぞれに思い出やストーリーが刻まれています。特に印象的だったのは、家具を単なるインテリアとしてではなく、家族の歴史を紡ぐ大切な存在として捉えている視点。次世代へと受け継がれていく家具たちは、これからも新たな物語を紡ぎながら、暮らしに温もりを与え続けることでしょう。いつも当店のご利用誠にありがとうございます。今後とも機会がございましたら当店をよろしくお願い致します。

そんな杉山さんのお店『.gut(テングート)』はご夫妻で買い付けてこられた北欧雑貨の販売と共に手作りごはんをいただけるお店です。ぜひ脚をお運びください。

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.gut(テングート)

埼玉県さいたま市浦和区上木崎4-1-30
電話070-8585-1871
https://tengut.com/

tengut_shop

ten.gut

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北欧家具tanuki 北島

カイ・クリスチャンセンのNo.42チェア。北欧ヴィンテージの定番チェアとして長く愛される訳とは。

当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具のチェア。半世紀以上前にデザインされながら今なお作られ続け愛される名作も多数存在することから、北欧ヴィンテージ家具の普遍的なデザインや実用性が世界的に評価されていることが伺い知れます。そんな北欧ヴィンテージのチェアの中でもそのデザインや実用性で高く評価されるカイ・クリスチャンセンのNo.42チェア。当店でもデンマーク買付の際に見つかれば買い付ける北欧ヴィンテージの定番のチェアですが、なぜそれほどまでに人気なのか、その魅力をお伝えします。

背もたれをミナペルホネンのタンバリンで張り替えたタイプ。2色使いも人気です。

カイ・クリスチャンセンとは?

カイ・クリスチャンセン(Kai Kristiansen)は1929年にデンマークで生まれた家具デザイナーです。1948年頃、コペンハーゲンにある王立美術アカデミーに入学し、家具デザイン界の巨匠であるコーア・クリント(Kaare Klint)に師事します。その後わずか26歳で自身のスタジオを開いたクリスチャンセンは、やがてデンマーク・モダンスタイルと呼ばれるようになる家具を作り始め、後にデンマークの著名なメーカーで生産されることになります。
クリスチャンセンはチェア、デスク、サイドボード、ウォールユニットなど、デンマークモダンを代表する家具を製作しており、そのデザインは時代を超えた今でも高い評価を得ています。


カイ・クリスチャンセンのNo.42チェアの魅力

北欧ヴィンテージのチェアとしても定番の一品。そんなカイ・クリスチャンセンのNo.42の魅力は下記5点にまとめられます。

①背もたれが可動する

②ひじ掛けの位置が絶妙

③ハーフアームで収納に便利

④軽量

⑤シルエットが美しい

 

 

①背もたれが可動する

まず何と言ってもこのNo.42の特長は背もたれの角度が変わること。座面に深く腰掛けて姿勢正しく座ることはもちろん、少しリラックスして砕けた姿勢にも追従してくれるのでさまざまな姿勢で腰かけられます。この背もたれも背中のちょうど良い部分にフィットし腰を支えてくれます。座面周りも広いので、斜めに腰かけたり、だらーんとだらしない格好で座りこともできます。

姿勢正しく背を立てた状態。
背もたれに寄り掛かった状態。
姿勢にここまで追従してくれます。

 

斜めに座っても体に馴染みます。

②ひじ掛けの位置が絶妙

No.42の初めて座った方がよく驚かれる部分でもあるこのひじ掛け。座って肘を置いてみるとその高さや角度、さらに天面が沿っているのがポイントで上腕に絶妙にしっくり馴染みフィットします。このアームの造形も美しく、それでいて手で持った際の手馴染みも良いという点もグッド。痒い所に手が届く至れり尽くせりなひじ掛けです。

このカーブ具合がとても良い。

しっくりきます。

③ハーフアームで収納に便利

カイ・クリスチャンセンのNo.42はいわゆるハーフアームというひじ掛けを持っていますが、こちらも痒い所に手が届くデザイン。座面の先端くらいまでアームがあるデスクワーク用などのアームチェアの場合、腕全体を支えてくれ安楽性は高いのですが、テーブルに当たって天板下に収納できない場合もあります。その点、No.42は通常のアームチェアの半分程度の長さに収められており、アームチェアという機能を保ちつつ、天板下に収納しやすいという実用性も兼ね備えています。テーブルの天板下に収納できない場合、収納時にアームチェアとハーフアームでテーブル周りの導線に約20cmの差が生まれます。テーブル周囲のスペースがあまりない場合はこの約20cmこれがあるのとないのでは意外に違いは大きいです。

テーブルの高さによってはアームが当たって天板下に収納できない場合でも、座面の半分くらいは収納できます。

④軽量

カイ・クリスチャンセンのNo.42は見ての通り至極シンプルなデザイン、構造をしています。それゆえチェア自体も軽量で取りまわりをしやすいという点も魅力です。北欧ヴィンテージのチェアでは通常は座面全面が板で作られていることが多いのですが、こちらは枠で構成されているため、軽量化がされています。ちなみにこの枠に当店ではダイメトロールという布ばねを使用して張り替えるため、底辺り感がなくよい座り心地にも貢献しています。

⑤シルエットが美しい

北欧ヴィンテージのチェアの中にはシルエットが美しいチェアがたくさんありますが、こちらのカイ・クリスチャンセンのNo.42も美しいシルエットを持つ一脚。特に斜め後ろからのアームの造形や後ろ脚が見える角度が美しい(と個人的に思います)。脚は内向きになっているので、スタイリッシュな印象でありながら、4本脚が垂直になっているチェアと比べて脚まわりのスペースを取らず、椅子を引く動作で足を引っ掛けることも少ないデザインになっています。

 

カイ・クリスチャンセンのNo.42、現行品との違い

現在宮崎椅子製作所で製造が続けられているNo.42。現行品とヴィンテージの違いはどのようなところでしょうか。

①材の違い

②アーム横の木栓の違い

③座面下の違い

④フレームの細さや造形

⑤ヴィンテージでも年代で少しの違いが?※番外編

 

①材の違い

まずは材の違いです。私がこれまでみた限りですとヴィンテージものは【チーク材】【ローズウッド材】【オーク材】が存在しています。

宮崎椅子製作所で製造される現行品は【ブナ材】【アッシュ材】【オーク材】【レッドオーク材】【欅材】【ブラックチェリー材】【ウォールナット材】となっています。

オーク材は共通していますが、チーク材とローズウッド材はヴィンテージでしか手に入りません。共通しているオーク材も経年変化で飴色に変化している個体はヴィンテージならではの魅力です。

ヴィンテージでしか入手できないローズウッド材仕様のNo.42。杢目もかなり個体差があります。

ローズウッド材ならではの杢目や上品な存在感はヴィンテージならでは。

②アーム横の木栓の違い

外観的特徴の違いとしてはアーム横の木栓の違いになります。ヴィンテージは丸みがあり、現行品はフラットに仕上がっています。

ヴィンテージ仕様の木栓は表面が丸くなっています。この木栓の奥には背もたれ側の金具と接続するネジが入っていて、張替の際はこの木栓を取らないとネジを取ることができません。きれいに取れることは少ないので、基本的に作り直しになります。

③ピボットの金具

カイ・クリスチャンセンのNo.42の特長である動く背もたれ。背もたれ側面についている突起がアーム側にある穴の遊びの中で動くことにより背もたれの可動を実現しているのですが、ヴィンテージはただの穴(若しくは真鍮のカバーをしてある)ですが、現行品は金具で補強されています。ヴィンテージのチェアの場合はこの部分に破損があるものもよく見受けられるため、現行品では強度を高めるために改良されています。

普段は見えないアームの内側。

③座面下の違い

現行品には座枠の四隅に隅木を取り付けて補強してあります。ヴィンテージのNo.42にはありません。また、現行品には宮崎椅子製作所のタグと刻印があります。

④フレームの細さや造形

ヴィンテージと現行品の微妙な違いですが、ヴィンテージの方がわずかにフレームが細く作られています(※例外あり下記⑤参照)。また、アーム周りの造形も若干異なります。よりシャープな印象をお求めでしたらヴィンテージをお勧めします。

⑤ヴィンテージでも年代で少しの違いが?※番外編

実はデンマークで買い付けるヴィンテージのカイ・クリスチャンセンNo.42にはフレームの細さが異なる少なくとも2パターンが存在しています。アーム内側の遊びのある穴の仕様(真鍮カバーがあるかないか)や背板の構造(木材以外にもMDFを使用しているものある)、アームの造形など微妙な違いもあるのですが、細い方が古い方と思われます。よりシャープな印象のものをお探しでしたら特に後ろ脚がわかりやすいので見てみましょう。

左右共ヴィンテージのNo.42ですが、右の方がすっきりしています。特に脚先にそれが見て取れます。
フレームが細いタイプ。
フレームが少し太いタイプ。
アームの造形も微妙に異なります。右が細いタイプです。

カイ・クリスチャンセンのNo.42、現行品とヴィンテージ、どちらを選べばいい?

現行品とヴィンテージの違いをお伝えしましたが、結局どちらを選べばいいの?という方はこちらをご参考になさってください。

①価格

一概に言えませんが、現在のヴィンテージ市場の価格感からするとヴィンテージの方が現行品より価格は高いです。デンマークに家具を買い付けに世界中からバイヤーが訪れ、現地での供給量とその需要の関係で現地の価格は落ちず、近年の円安の影響もあり今後も価格は落ちそうにありません。もちろんチーク材やローズウッド材はそもそも現行品で作られていないためその希少性や材の価値の違いがありますし(※以前は宮崎椅子製作所でもチーク材仕様を製造していましたが現在は中止)、現代でチーク材やローズウッド材で新規で同じものを作ろうとすると、ヴィンテージで購入する以上の価格になると思われるので、チェアを価値を考えると決してヴィンテージの価格が高いということもないと思います(ローズウッド材のものはそもそも作れません)。

②耐久性

1954年にデザインされたカイ・クリスチャンセンのNo.42。当店で買い付けるヴィンテージものの多くは半世紀前に作られたものが中心となり、現在の機械加工の精度や工業規格の違いなどもあり、耐久性としては現行品に軍配は上がります。特にヴィンテージのNo.42はアームの可動部にダメージが発生することがあり、デンマーク買付時はこの部分にダメージがないか見て買付をしています(この部分は現行品では金属パーツを使用することにより改善しています)。ヴィンテージのNo.42も当店ではこれまでかなりの数を販売しており、経験上メンテナンスをしっかりすれば特に実用上は問題はないのですが、可動するという構造上(現行品も含め)長期に渡る使用において何か不具合が出る可能性は0ではございません。

③材の違い

現行品にはないチーク材とローズウッド材でお探しの場合はヴィンテージ一択です。個体差はありますが、ヴィンテージの経年変化の雰囲気はやはり現行品にはありません。

④見た目

上記で解説した通り、フレームの細さの違いがあるため、よりシャープな印象のものをお探しでしたらヴィンテージがおすすめです。現行品はどちらかというとシャープ寄りに作られているようです。

カイ・クリスチャンセンのNo.42の張替も楽しい

当店で取り扱うカイ・クリスチャンセンのNo.42はもちろん張替も可能です。

背と座を同じ色で張り替える定番スタイルから、背と座をあえて違う色で張り替えるバイカラー仕様もおすすめ。ミナペルホネンのタンバリン柄も定番の可愛さです。当店でこれまで張り替えた中からご参考までにいくつかご案内いたします。ぜひお気に入りの組み合わせを見つけてみてください。

ミナペルホネンのタンバリンにて張り替えたNo.42。ポップでかわいい。
Kvadrat/Raf Simons/Pilotを使用したNo.42。
Kjellerup Væveri社Herningにて張り替えたNo.42。背のみストライプの仕様。
Danish Art Weaving社Royalにて張り替えたNo.42。ポップで楽しげな配色。
Danish Art Weaving社Royalにて張り替えたNo.42。落ち着きある紺色は定番の色。
リバコ社RIBONシリーズにて張り替えたNo.42。
Kjellerup Væveri社SAMSØにて張り替えたNo.42。ローズウッド材とグレーの生地は相性ばっちりです。

カイ・クリスチャンセンのNo.42を選ぶ際に

カイ・クリスチャンセンのNo.42は、半世紀以上の時を経てもなお多くの人々に愛され続ける北欧ヴィンテージ家具の名作です。その背もたれの可動性、絶妙なひじ掛けの位置、収納に便利なハーフアーム、軽量で扱いやすい構造、そして美しいシルエットが見事に融合しており、デザイン性と実用性を兼ね備えた一脚です。現在では宮崎椅子製作所において現代のニーズに合わせて改良を加えながら製造が続けられていますが、希少なチーク材やローズウッド材を使用したヴィンテージ品では、その材の魅力やヴィンテージならではの雰囲気、シャープなフレームの造形も魅力的です。また、ヴィンテージの中でも製造年代によって細部の仕様に違いがあり、それぞれの特徴を知った上で、お好みのものを選んでいただければと思います。半世紀以上前のデザインながら現代の生活スタイルにも対応するカイ・クリスチャンセンのNo.42は、これからも多くの人々に長く愛され続けることでしょう。ぜひこの機会に、あなたもその魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

メンテナンス済みのチェアを探す

メンテナンス前のチェアを探す

北欧家具tanuki 北島

 

滑らかな曲線が魅力。ヨハネス・アンダーセンのチェアの美しさを解説。

当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具にはデザイナーズからアノニマスのものまでさまざまなデザインが存在し、シンプルな物から構造的にそれ意味ある?という奇抜なものなど多種多様なものが作られてきました。北欧ヴィンテージ家具といえば丸みを帯びた曲線の柔らかさが特徴のものも多いのですが、その中でも特に曲線の美しさに定評のあるデザイナー、ヨハネス・アンダーセン。チェア以外にもチェストやサイドボードなどさまざまデザインしましたが、その魅力を最も感じられるチェアの魅力を今回はお伝えいたします。


ヨハネス・アンダーセンとは?

ヨハネス・アンダーセン(Johannes Andersen)は1903年デンマークのオーフスで生まれ、1922年に家具職人としての認定を受けます。1930年代半ばに自身の建築会社を設立、Trensum、CFC Silkeborg、Bramin、UldumMøbelfabrikなどの企業と協業しさまざまな家具を作り出しました。
有機的で美しい曲線を多用したヨハネス・アンダーセンの家具達は、デザイン性と実用性を兼ね備えており、北欧ヴィンテージ家具のとして日本をはじめ世界的に人気があります。代表作は1957年デザインの通称UFOテーブルやスマイルテーブルと呼ばれるコーヒーテーブルです。


北欧ヴィンテージ家具の真骨頂?ヨハネス・アンダーセンの魅力とは?

北欧ヴィンテージ家具界隈のなかでハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールといった大御所とは異なり、知名度ではやや劣る印象のヨハネス・アンダーセンですが、それゆえ玄人好みな隠れた名作も多く一度知るとその魅力に引き込まれるという方も多いはず。そんなヨハネス・アンダーセンの魅力とは?

①滑らかな曲線の美しさ

②実用性と美しさを兼ね備えた構造美

③佇まいと後ろ姿の美しさ

 

①滑らかな曲線の美しさ

まずはなんといってもヨハネス・アンダーセンの魅力はその曲線の美しさにあります。曲線を多用した北欧ヴィンテージ家具の作品はたくさんありますが、その中でもトップクラスの曲線の美しさを持っていると思います。まずは画像にてその美しさをご覧ください。

横から見た際の美しさも魅力。

滑らかな曲線の背もたれは体を包み込んでくれるような座り心地。

ヨハネス・アンダーセンのチェアの代表格のこちらのチェア。北欧ヴィンテージ家具業界でも定番のモデルですが、背もたれから座面に伸びるアームの滑らかさは、木を削り出して作られているように見えないまるでガラス細工のような滑らかさ。この細く丸みを帯びたアームは、座った状態で少し椅子を前に出したいときに手で持つとしっくりくる位置・角度になっており、しかもとても手に馴染む造形で、ついつい触りたくなってしまうほど。

まるで粘土を伸ばして作ったのではないかと思えるほどの細いアームを無垢材の削り出しで実現。

特にこちらのモデルのぐぐっとくるポイントは上記画像の座枠にそっとやさしく触れているかのようなアーム先端のデザインで、手間をかけて丸く削り出して作られた造形にデザインのこだわりを感じます。加えて、背もたれも丸みを帯びており、アームから背もたれに掛けてのラインが非常に美しくデザインされています。北欧ヴィンテージの中でもさまざまなチェアが存在していますが、その曲線の美しさで右に出るものはなかなかないのではないでしょうか。

もう一脚ご紹介いたします。こちらはJulianと呼ばれるチェアですが、こちらも木を削り出して作られたとは思えない曲線を持っています。

細いフレームながら体にしっかり沿うような美しい造形。

この滑らかさを木を削って表現する、しかも量産するという技術力に感謝です。

 

②実用性と美しさを兼ね備えた構造美

ヨハネス・アンダーセンのチェアの魅力は曲線的な美しさに加え、それが実用性も兼ね備えている点。こちらのBA-113というモデルでは、ヨハネス・アンダーセンの特長である曲線を多用しつつ、実用性にも優れたチェアとなっています。

こちらのヨハネス・アンダーセンBA-113はいわゆるハーフアームという通常は座面の先端くらいあるアームを半分ほどにしたチェア。テーブルの高さなどが問題でチェアがテーブル下に収納できないという点をアームチェアという機能を犠牲にすることなく解決したチェアですが、まずはアーム先端の造形を見てください。よく見ると少し上向きになっていて、実はこれのわずかな傾斜があることにより腕馴染みが格段に上がり、とてもしっくり腕に馴染んでくれます。また、アームを支える支柱も丸みを帯びたデザインで、且つその支柱の根本部分も強度を保つために少し盛り上がった造形になっています。このチェアとしての強度と美しさを兼ね備えたデザインは本当によくできているなと感心します。このような機能美を随所に感じることができる点もヨハネス・アンダーセンのデザインの魅力です。

ヨハネス・アンダーセンのBA-113。

このBA-113は少し異なる造形のタイプも存在しています。

 

③佇まいと後ろ姿の美しさ

上記のように細かい部分に加え、全体で見た時のシルエットも美しいヨハネス・アンダーセンのチェア。普段実生活の中でチェアはテーブルに収まっていますので、なかなか正面から見る機会はないので、ひとつのチェアの選び方として後ろ姿の美しさでご検討いただくのもよい要素かと思います。その後ろ姿の美しいチェアをヨハネス・アンダーセンはたくさんデザインしました。ぜひお気に入りの一脚を見つけてみてください。

こちらはヨハネス・アンダーセンとしては珍しいソファ。
Julianの背もたれも美しい。

北欧ヴィンテージのチェアをお探しの場合はヨハネス・アンダーセンのチェアもぜひご検討を

ヨハネス・アンダーセンは北欧ヴィンテージ家具の中でもハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールなど王道なデザイナーとは異なりややマイナーなデザイナーではありますが、その魅力は全く王道のデザイナーに引けを取らず、むしろ北欧ヴィンテージの魅力のひとつである曲線の美しさを最も体現するデザイナーの一人です。北欧ヴィンテージのチェアをお探しの際は、ぜひヨハネス・アンダーセンの作品もご検討してみてはいかがでしょうか。ヨハネス・アンダーセンのチェアは当店でも人気が高く、常に在庫がある状況ではございませんが、今度もさまざまなヨハネス・アンダーセンのチェアをご紹介していきたいと思います。

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北欧家具tanuki 北島

 

【北欧家具tanuki 3月の特別キャンペーンのお知らせ】

新生活をスタートさせる機会の多いこの季節。新しい環境での始まりに心躍る一方で、準備に伴う出費も増えがちですよね。最近は何かと物価高で少しでも出費を減らしたいという方も多いはず。そこで北欧家具tanukiではそんな時期だからこそ少しでもお力になりたいと思い、この3月、特別なキャンペーンを実施いたします。ぜひこの機会をご活用ください。

①配送料無料キャンペーン

3月末までの期間中に商品価格50,000円(税込)以上の家具をご購入いただいた場合、全国どこでも配送料無料でお届けいたします。大きな家具を購入する際の配送費用を気にせず、お気に入りのヴィンテージ家具をお選びいただけます。

裏話:ちなみにですが、、、さまざまな影響で今年から実は繁忙期のシーズンに家財便をご利用の場合、加算料金が追加されることになりました。本来はこの加算料金もお客様にご負担いただく予定だったのですが、その分も無料にするので出血大サービスです。

例:ダイニングテーブル1台、チェア2脚、ソファ1台、関東圏の場合

ダイニングテーブル 配送ランクD 10,800円(税込)

チェア 配送ランクB 4,300円(税込)*2=8,600円(税込)

ソファ 配送ランクC 7,400円(税込)

計 26,800円(税込) これは大きい!

※店舗及びネットショップでのご購入が対象です。ネットショップではご決済手続き後に配送料無料へ変更させていただきます。

※北海道、沖縄県及び離島を除きます。

※美術品輸送は対象外です。

 

②張替の生地代30%OFFキャンペーン

3月末までの期間中に当店でソファやチェアをご購入いただき張替をご依頼の場合、張替用生地が30%OFFになるお得なキャンペーンを開催します。お部屋のインテリアに合わせてお好きな生地を選んで新生活をスタートしましょう。

30%OFF対象はリバコ社・Danish Art Weaving社・Kjellerup Væveri社の生地となります。

⇒生地を見る

※本革やミナペルホネン、Kvadrat社などは対象外となります。

※お持ち込みの張替への割引は適用外です。

 

サンプル例

イージーチェア/ハンス・J・ウェグナー/GE236/チーク材【2409-0506】の場合

使用生地:Danish Art Weaving社 UrdStrib 単価27,100円(税別)/m

必要数 6.8m

通常価格 27,100円(税別)*6.8m=184,280円(税別)

⇒割引価格 27,100円(税別)*6.8m*30%OFF=128,996円(税別)

差額はなんと55,284円(税別)、これは大きい!もう一つ家具が買えますね。

(配送料無料キャンペーンと組み合わせたらすごいことになりそうで戦々恐々としています汗)

※張替済みの商品は割引対象外です。

 

③オイルメンテナンスワークショップ開催

オイル仕上げの家具を長く大切に使うためには、定期的なメンテナンスが大切です。家具をオイルメンテナンスして新生活のスタートを切りましょう。本ワークショップでは、オイルメンテナンスの基本を専門のスタッフが丁寧にお教えします。この機会にご自身の手でヴィンテージ家具を美しく保つ方法を学びましょう。

前回のワークショップの様子はこちらから

【ワークショップ内容】
✓オイルメンテナンスや塗装についての基礎知識の解説
✓オイルメンテナンスの方法・手順の解説と実演
✓実際に家具を用いたオイルメンテナンスの実施
【開催概要日時】
①2025年3月16日(日)10時00分~11時00分

②2025年3月22日(土)10時00分~11時00分

③2025年3月23日(日)10時00分~11時00分

✓場所: 北欧家具tanuki 工房2階
✓参加費: 無料
✓定員: 各4組(1組2名まで)
✓ 持ち物: 汚れてもよい服装、メンテナンスしたい家具

【お申込み方法】
店頭若しくは下記のいずれかの方法にてお申込みください。
メール:info@hokuokagu-tanuki.com
インスタグラムのメッセージやLINEも可
電話:0493-81-4642

【備考】
※オイルメンテナンスをしたい家具をお持ちの方はお持ち込みください。オイルメンテナンスに適しているかどうか確認しますので事前に当店までご相談ください。開催場所の都合上一人掛けのチェアくらいのサイズまでとさせていただきます。家具のお持ち込みがない場合は当店でサンプルの家具を用意させていただきます。
※メンテナンスで使用するオイルや資材はこちらでご用意いたします。
※今回のワークショップはオイルでのメンテナンスをまだしたことがない方など初心者向けのワークショップとなります。

 

4月からの新生活をより豊かに素敵に。皆様のご利用を心よりお待ちしております。

 

北欧家具tanuki 北島