北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。
第七弾はデンマーク現地の様子をお届けします。お伺いしたのは10年ほどの付き合いとなるJ氏宅。今回、取材したい旨を伝えると“デザイナーズハウスじゃないし、ジャンク品と少しのナイスなアイテムくらいしかないけどいいの?”と謙遜していて、ボツ企画になるかもと思っていたところこのスタイリングときたのでデンマーク人のセンスの高さに良い意味で裏切られました。
J氏はデンマーク家具のディーラーで、個人の趣味として本格的な工房を持ち木工やDIYも得意。今回はJ氏の元で買付が終わった後にご自宅を見せてもらいました。
J氏が住むエリアは1600年代から集落として人が住み始め、近くの教会もその頃建てられたそう。J氏の住宅は1877年に商店として建てられた記録があり、さまざまな歴史を経て現在J氏が住んでいる。


まずは玄関から入った最初のホールにローズウッド材のグランドピアノとヴァーナー・パントンのVP GLOBEというクラシックとスペーシーが絶妙にミックスされたコーディネート。ロッカーでさえアート作品に感じてしまう空間。いきなり予想を超えてくる空間に感動を伝えようにも英語の語彙力がなさ過ぎて感動を伝えられないもどかしさに思わず窮する。
ホールの隣はキッチン。J氏がほとんどの部分をDIYで改修して使用している。コンロなどはオークションなどで安く購入したそう。
デンマークの街中を走っていると、窓から見えるちょうど良い位置に照明が吊られていることが多い。こういった造りが良い街並みを作り上げているのでしょう。
ホールの向かいはダイニングエリア。全体のバランスや配色、絵画やアートの取り入れ方、異なるテイストのものの組み合わせ、何から何までそのコーディネートセンスに脱帽。奥様が塗装をしたという古いテーブル天板に別のステンレス脚を取り付けてリメイクしたダイニングテーブルに赤いセブンチェアという構成。普通ならなかなか思いつかないコーディネートですが、パントンチェアや絨毯との絶妙なバランスによって、見事にまとめられています。照明はレクリントの CARRONADE を使用、空間をうまい具合に締めています。私自身も北欧ヴィンテージであればそのジャンルだけでコーディネートを考えてしまいますが、本当にデンマーク人はこのような異素材や異なるテイストのものの合わせ方がうまく勉強になります。
このお部屋の主役、J氏の趣味であるお酒のコレクションを収納している大型のガラスキャビネット。SASのプレートがあることから、アルネ・ヤコブセンがデザインしたことで有名なラディソンSASロイヤルホテル(Radisson Blu Royal Hotel)で使用されていたもののようでかなりレアな一品。生涯売らないとのこと。
キャビネットの向かいのガラスの窓際にはホルムガードなどのガラス小物をコーディネート。他のお宅でも窓際や光が差し込むところにガラス小物を飾ってあるところをよく見かけます。 光を取り込みながら美しさを引き立たせています。
アフリカンアートや絵画など。古い携帯電話でさえアートです。
二階への階段の踊り場には標識。
書斎スペースにはアルネ・ヤコブセンのAJロイヤルやカントリー調のデスクなどをコーディネート。
ダイニングエリアを抜けると大量の書籍とJ氏のコレクションであるベースが壁面にたくさん飾られているリビングエリア。
リビングエリアの一角にはアルネ・ヤコブセンのエッグチェア。愛犬にいたずらされてもいいように、ほどよいヤレ感のエッグを使用しているとのこと。このバランス感覚。
リビングを抜けるとJ氏の趣味である木工の作業場へ。個人の趣味としてはかなり本格的。
オークションで落札した木工旋盤も本格的。配送に苦労したそう。
黄色のガーデンチェアとテーブルもアートに見えてきます。
J氏の住まいを訪れたことで、デンマークの文化や生活スタイルに触れる貴重な機会をとなりました。彼の家には、過去と現在が調和した空間が広がり、デンマーク人ならではの秀逸なセンスの良さに感動しっぱなしでした。特に、アートをさりげなく生活に取り入れる巧みさや、異なるテイストのアイテムを絶妙に組み合わせるスタイルにはやはり驚かされます。豊かで温かみのある暮らしのための多くのインスピレーションを得ることができました。今後も本場の生活空間を発信していきたいと思います。J氏ありがとうございました。
北欧家具tanuki 北島