【Workshop stories】リペア職人川中のメンテナンスブログ #1

北欧家具tanukiにてメンテンナンスを担当している川中です。以前も少しメンテナンスについてブログを書いたことがありますが、これから定期的にメンテナンスの様子をブログにまとめてみようと思います。普段はあまり表に出ないメンテナンスの様子をご紹介できればと思います。

まずは簡単に自己紹介を。出身は長崎で、以前は門松・鐘楼(しょうろう)船を作る竹職人をしていました。その後、木工の学校に通い、家具製作所を経てtanukiのメンテンススタッフとして入社しました。趣味はギターの弾き語りです。昨年、お店でクリスマスインスタクライブを行いました。また、やる機会がありましたら是非ご覧いただけると嬉しいです。

さて、今回はコーナーチェストのメンテンスをご紹介したいと思います。

 

残念ながら配送中の事故により角がつぶれてしまいました。今回はつぶれた部分の角を再生して突板を張り直して修復します。

小鉋(こがんな)で不要な部分を削ります。他の部分を傷つけないように慎重に作業します。

ノミを使って切口を整えます。このノミは研ぎやすくよく切れてとても使いやすいので、こんなに短くなっても使い続けています!

サンドペーパーで表面を調整します。

調整が完了しました。角を新たに作るために部材を作ります。

何度も当てながら材を調整します。

部材を取り付けます。隙間がでないように気を付けて接着します。

接着完了!

余分な部分をカットしていきます。本体が傷つかないように紙を当ててカットしています

このノコギリは刃にあさり(左右交互に外側に出ている刃)が無いので本体に傷がつきにくいです。

ノミで形を整え中。

角を再生しました。

ルーターを使って突版を貼る厚みを削っていきます。

突板を貼って色合わせ後、今回のコーナーチェストは全体的にラッカー塗装されていたので、艶感を調整してラッカー塗装して完成です。

BEFORE

AFTER

今回の作業では隙間やでこぼこが出ないよう気を付けました。今回はお客様のご希望で突板を継ぎ足す方法で行いましたが、もし継ぎ目をなくしたい場合は前面部分すべての突板の張り直しなども行います。今後もこのようにメンテナンスブログを書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

北欧家具tanuki 川中

【tanuki journal】No.9 子育て世代の北欧ヴィンテージ家具との暮らし方

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第九弾はRさん・Tさんご夫婦のお宅を訪ねました。北欧スタイルの住宅の購入を契機に北欧ヴィンテージ家具を集め始めたというお二人。今回はデイベッドのお届けのタイミングで取材させていただき、家具選びの基準や小さいお子様と生活する上で気を付けていることなど伺いました。


-北欧ヴィンテージ家具や雑貨はどのように出会いましたか?

Rさん:夫婦ともに音楽鑑賞が趣味なのですが、デンマーク出身アーティストの音楽を聴くようになったことがきっかけで北欧の雑貨や食器に興味を持つようになりました。以前アパートに住んでいた際に家を建てるのであれば北欧風にしたいと思っていて、地元の工務店に依頼してお家を建てました。その建てる段階で家具も北欧のものにしたいと思って探し始めたことがきっかけです。いろいろなお店を周りましたがtanukiさんに初めて訪れた時にこれだ!とピンときました。当時夫はヴィンテージはただの中古という印象で抵抗があったのですが、tanukiさんの可愛らしい家具に出会ったことで、一気に価値観が変わって北欧ヴィンテージ家具を買いそろえるようになりました。

-北欧ヴィンテージ家具を気に入ったところはどのようなところですか?

Rさん:デザインが洗練されていながら、木の滑らかさや杢目の美しさも感じられるところに惹かれるんだと思います。木の質感や触り心地もよいので気が付くと撫でていたりします笑

-ヴィンテージ家具を選ぶ際に重視している点や購入の決め手はどのようなところですか?

Rさん:家を購入した当時は特定の家具を探しにいくという目的を持って見に行っていましたが、ある程度揃った今では直感でこれだ!という感じで出会いを楽しんでいます笑。今回届けていただいたラタンのデイベッドは以前から気になっていて、tanukiさんで見た瞬間に色味が部屋の雰囲気にぴったりだと思いました。知った当時よりも価格は上がっていましたが、一生ものでいつか子供にも引き継げますし、夫もどうせ買うならと背中を押してくれました。籐の一部分だけ直して真新しくなっているものでなく当時のオリジナルコンディションのものを探していました。

Tさん:今回購入したラタンのデイベッドは高額な買い物ですが、価値も下がらないしいいかなと思いました。車は何年か使ったら価値がなくなるものもありますが、ヴィンテージ家具はそういったこともないですし。tanukiさんで扱う家具は色味など部屋の雰囲気にとても合うので気に入っています。

今回お届けしたGE258オーク材ラタン仕様のデイベッド。籐は貴重なオリジナルコンディション。

-思い入れのある家具はありますか?

Rさん:全部思い入れがあります。最初の頃に購入したチェストは当時一台は欲しいと思っていました。縁のあるデザインのものを探していたらちょうどtanukiさんで見つけて購入しました。ガラスキャビネットの上にある照明も妊娠中につわりがひどくげっそりしていた時に夫が頑張ったご褒美としてプレゼントしてくれました。ひとつひとつエピソードがあります。

縁のあるデザインがお気に入りのチェスト。
ご褒美の照明。

-お気に入りの家具はありますか?

Tさん:壁に設置しているアルヴァ・アアルトのウォールシェルフがお気に入りです。tanukiさんで一目惚れして衝動買いしました。アアルトの家具はこれが初めてだったと思います。

Rさん:壁の余白に木のぬくもりが加わり、部屋の印象が一気に変わりました。曲線が気に入っています。

ヴィンテージのアルヴァ・アアルトのウォールシェルフ。

アラビア社のC&S、pikkukukkaとDoria。
イェンス・クイストゴーのC&S、レリーフ・コーディアル・アズール。

リサ・ラーソン。

イルマリ・タピオヴァーラのピルッカスツール。

新婚旅行先のノルウェーで購入した版画。

-小さいお子様との生活で気を付けていることはありますか?

Rさん:なかなか子供と北欧ヴィンテージの共存が難しいところで、本当はダイニングテーブルもオイル仕上げがよかったのですが、利便性や耐久性を考えてウレタン塗装にしました。結果よかったと思っています。

ウレタン塗装のダイニングテーブルにイルマリ・タピオヴァーラのファネットチェア、アルヴァ・アアルトのNo.69チェア。

Rさん:ほかにもこのGE290イージーチェアもアームの傾斜がちょうどよいみたいでトミカを走らせたがるのですが笑、これは大切なものだから遊ばないでねと伝えるようにしています。リビングのハンス・J・ウェグナーのコーヒーテーブルも普段は保護シートを敷いて使用していますが、音楽部屋にある丸いコーヒーテーブルはトミカでガシガシされるので、あれだけは諦めました。なるべく子供とお約束事を決めてどこなら遊んでいいか伝えたり、遊ぶスペースを別に用意してそこで遊んでもらったりいろいろ対策しています。

トミカに最適な傾斜のアームレストを持つハンス・J・ウェグナーGE290イージーチェアとコーヒーテーブルAT15。
ご夫婦の趣味の音楽部屋。ハンス・J・ウェグナーGE290A。

トミカでガシガシやられるハンス・J・ウェグナーのコーヒーテーブル。

UK・USロックを中心としたご夫婦のコレクション。
アルヴァ・アアルトのテーブル。

Rさん:このほかにもお部屋に観葉植物を置きたいと思っているのですが子供が葉っぱが好きでむしりたがるので置けなかったり、リサ・ラーソンの小物をもっと置きたかったり理想はあるのですが、現状は結構子育て仕様になっています。リアルな話共存はなかなか難しいですが、その理想は子供が育った時の楽しみにとっておいています。小さい子供がいるご家庭でどうしているのか、ぜひ今後のtanukiジャーナルで皆さんがどうしているか聞いてみたいです!

-確かに難しいところですよね。私がこれまで見聞きする中では皆さんけっこうそれぞれで、完全に気にしていない方もいれば、シートやマットを敷いて使っている方もいらっしゃいます。今後取材で聞いて記事にまとめてみます。

 

Rさん:子供にtanukiに行くと伝えると「行く!」と言ってお店のキッズスペースでよく遊ばせてもらっています。最近はある程度期間をあけてたまにtanukiさんに行ってみると、ビビッとくる出会いがあって。それをすごい楽しみにしています。


小さなお子様との生活の中で、理想と現実のバランスを取りながら北欧ヴィンテージ家具との暮らしを楽しまれているRさん・Tさんご夫婦。家具との出会いのエピソードや、お二人で選んだ思い入れのある家具たちが、豊かな暮らしに深く根付いている様子が印象的でした。『いつか子供にも引き継げる』というお言葉にあるように、北欧ヴィンテージ家具たちと世代を超えて、これからも素敵な家族の物語が紡がれていくことでしょう。いつも当店のご利用ありがとうございます。今後とも引き続きよろしくお願い致します。

北欧家具tanuki 北島

世代を超えた美しさ。ハンス・J・ウェグナーGE240ソファの魅力とは?

当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具。1950~1970年代にデザイン・製造された家具たちは今もなお現代の生活に馴染み、豊かな生活に貢献してくれます。そんな豊かな生活に欠かせないのがソファ。ゆったりくつろいだりお部屋で多くの時間を共にする家具を選ぶに際にぜひ候補に入れてほしい一品がハンス・J・ウェグナーのGE240。実用面だけでなくその美しいデザインや資産価値としても優れた作品の魅力をお伝えいたします。


生涯500脚以上の椅子をデザイン、ハンス・J・ウェグナーとは。

ハンス・J・ウェグナー(Hans J Wegner)は1914年デンマークのトゥナーで靴職人の息子として生まれます。13歳の頃から家具職人H.F.スタルバーグの元で家具の修行を始め、17歳で家具職人の資格を取得しました。その後、コペンハーゲン美術工芸学校に入学し家具設計を専攻、卒業する1938年まで多くを学びました。卒業後、デンマークの建築家であるアルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)の事務所に勤務。ヤコブセンが設計したことで有名なオーフス市の市庁舎の設計にも携わり、議会の椅子や婚姻届を受け付ける部屋に置かれるチェアなど、そこに納める家具のデザインも行いました。1943年に独立し自身のデザイン事務所を開設。彼の代表作となるチャイナチェアシリーズの最初となる椅子はこの頃デザインされました。
ハンス・J・ウェグナーは、その後も数多く名作を残し、1951年にルニング賞を受賞、1997年に第8回国際デザイン賞を受賞するなど、数々の実績を残します。他にもデンマーク王立芸術アカデミーの名誉会員や英国王立美術大学から名誉学士号がハンス・J・ウェグナーに贈られています。1995年にはウェグナー美術館がウェグナーの生まれ故郷であるトゥナーに開館します。
生涯500脚以上の椅子をデザインしたと言われるハンス・J・ウェグナー。彼のデザインした作品は当時のデンマーク社会、住環境、経済状況などを反映し時代に即したデザインであると同時に、半世紀以上たってもなお古さを感じない普遍的なデザインが魅力であると言えます。


北欧ヴィンテージ家具の名作、ハンス・J・ウェグナーのGE240が選ばれる理由とは?

GE240の魅力は以下の5点にまとめられます。

①アームやフレームの丸みのあるデザイン

②バックショットの美しさ

③コンパクトなサイズ感

④安楽性

⑤希少性

詳しく見ていきましょう。

 

①アームやフレームの丸みのあるデザイン

まずはなんと言ってもGE240の特長は、葉巻のような形状をしていることから通称シガーチェアと呼ばれているその丸みを帯びたデザイン。特に無垢材を削り出して作られたアームの滑らかな曲線は手にとてもよくなじみ、木の質感も楽しめます。アームがチーク材、他のフレームがオーク材の組み合わせのタイプは配色も美しく、それぞれの材の経年変化の色味も楽しめます。1955年にデザインされたとは思えないほど現代においても古さを感じさせない普遍的な美しさもまた魅力です。

丸みを帯びたアームレスト。こちらはチーク材を使用したモデルですが、美しい杢目や色味も魅力です。
その形状からアームの先端にダメージがあることが多いGE240。ヴィンテージでお探しの際は特に気を付けて見てみてください。

②バックショットの美しさ

ハンス・J・ウェグナーの作品には後ろ姿が美しい作品がたくさんありますが、こちらのGE240もその美しさに目を見張ります。百聞は一見に如かずこちらをご覧ください。

お部屋の壁際に設置しがちなソファですが、お部屋の真ん中に設置して後ろ姿を眺めたい。そんな美しい一品です。

③コンパクトなサイズ感

GE240には1~3人掛けの3種類のサイズがありますが、1人掛けは幅68cm、3人掛けは幅175cmと他のハンス・J・ウェグナーのソファと比較してもコンパクトな造りとなっています。日本の住宅事情にも適したサイズ感といえ、それでいながらゆったり座れるサイズ感は希少です。

GE240の1人掛け。

④安楽性

GE240の座面の高さは先端の部分で約40cm。クッションは通常ヴィンテージの場合はスプリング仕様となっているため座ると沈み込みますが、その高さと絶妙な角度のアームとの腕馴染みがよく、とてもよく考えられた高さになっています。それゆえ安楽性もとても高く、ゆったり体を預けてくつろげます。

 

⑤希少性

GE240は現在製造されておらず、ヴィンテージでしか手に入れられません。それゆえ価値が落ちることはなく、むしろ今後も上がり続けるでしょう。近年もかなり現地価格が高騰し価格の上昇傾向はしばらく続きそうで資産価値の面でも非常に魅力ある一品です。

フレーム裏にはGETAMA社の刻印が入っているものも。たまに入っていないものもありますが、当時国内用に製造されたものは刻印をしなかったこともあったらしい。

 

GE240をお探しの際に見るべきポイント

①刻印の有無

フレームの裏側にあるGETAMA社の刻印。この有無で価格や価値が変わることはそこまでないのですが、こだわりたい方はチェックしましょう。

②材

私が確認している限りではGE240は下記3パターンの材の仕様があります。

①アーム:チーク材 / フレーム:オーク材

②アーム:オーク材 / フレーム:オーク材

③アーム:ビーチ材 / フレーム:ビーチ材(色が付いていることが多い)

好みでお選びいただければと思いますが、やはりチーク材とオーク材の組み合わせが一番美しくおすすめです。

③アームのダメージ

その形状からアームの先端にダメージがあるものも多いGE240。購入の際にはよくコンディションを確認しましょう。

④金属スプリング

通常GE240のクッションは内部に金属スプリングが入っているものがオリジナル。座面下もスプリング仕様となっていますが、ここの部分もダメージがないか、しっかりメンテナンスされているか確認しましょう。

⑤フレームの歪み

製造から50年ほど経っているものも多いGE240。特に座面下の座枠に負荷が掛かりやすいので、曲がっていないかチェックしましょう。多少の歪みは問題ありませんが、大きく歪んでいるものは避けた方がよいでしょう。

 

他のモデルとの比較

ここではGE240とよく比較されるモデルGE290との特徴の違いを見ていきます。ソファ選びの参考としてご覧ください。

それぞれハンス・J・ウェグナーの代表的なソファの為、比較されやすい双方ですが、最大の違いはやはりフレームデザイン。曲線的なGE240と直線的なGE290で良し悪しは付けられませんが、よりシンプルで定番デザインをお好みであればGE290、より丸みを帯びたデザインや希少価値をお求めであればGE240がお勧めです。またGE290のバックショットはGE290と比べややフレームが骨太な印象なので、繊細さに魅力を感じるようであればGE240がおすすめ。GE290の平面のアームレストは腕を置いたときの安定感に優れますが、曲線的なGE240のアームレストは手のひらでついつい触りたくなる手に馴染む造形です。

全体的なシルエットは似ていますが、フレームの造形や脚まわりの造りも異なります。

バックショットはどちらも美しく甲乙つけがたいですが、GE240の方が繊細な印象。

安定感のGE290と手のひらにすっと馴染むGE240のアームレストの違い。

サイドから見た時の印象も異なります。

半世紀以上の時を経て、なお色褪せることのないハンス・J・ウェグナーのGE240ソファの魅力。丸みを帯びた優美なフレーム、美しいバックショット、コンパクトながら快適な座り心地、そして希少価値と、どの観点からも秀でた名作。現代の暮らしにも自然と溶け込むその佇まいは、北欧家具の巨匠ウェグナーの真骨頂と言えるでしょう。永く共に過ごせる一生モノの家具をお探しの方には、ぜひ一度実物をご覧いただきたい逸品です。時を重ねるごとに味わいを増す北欧ヴィンテージ家具はきっとより豊かな生活に寄与してくれることでしょう。

当店ではGE240ソファなどハンス・J・ウェグナーの作品を多数取り扱いしております。お探しの商品がございましたらご遠慮なくお問い合わせくださいませ。

メンテナンス済みのソファはこちらから

メンテナンス前のソファ

 

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.8 ”現地取材”アートと名作家具の空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第八弾はデンマーク現地の様子をお届けします。お伺いしたのはデンマーク北部の都市在住のJ氏。過去に一度お宅を訪問させてもらい、そのコーディネートセンスに衝撃を受けたご自宅に改めてお邪魔しました。地上のワンフロア+地下の寝室というコンパクトな構成ながら、家具やアートがゆとりを持ってコーディネートされていました。


 

まずは玄関を抜けるとダイニングエリア。ボーエ・モーエンセンのダイニングテーブルやキャビネット、シバスト社やアルネ・ヤコブセンのチェア、ヴィルヘルム・ラウリッツェンのラジオハウスなどと共に観葉植物や鮮やかな青色が目を引くアートがよいアクセントになっています。オーク材を中心としたコーディネートもナチュラルな雰囲気で素敵です。

窓際にはボーエ・モーエンセンのBM62と共にアートを配置。

グンナー・ニールンドのベース。

ボーエ・モーエンセンのチェストの上にもさまざまなアートを配置。書籍の上に小物を置くディスプレイ方法は取り入れやすそう。

ダイニングエリアの反対側にはシンプルで美しいキッチン。

    

窓際のライトは定番。
ルイス・ポールセンPH 5/5 Pendant。
向かいのお家も素敵。

クリスマスシーズンにお伺いしたこともあり、本物のモミの木のクリスマスツリーがたくさんのプレゼントと共にコーディネート。

ハンス・J・ウェグナーのAP19。

リビングエリアにはルイス・ポールセンのコントラストやボーエ・モーエンセンのスパニッシュチェアやベンチ、ハンス・J・ウェグナーの貴重なJH-539スツールなどと共にさまざまなアートを配置。先日訪ねさせていただいたお宅でも見かけたスリットの入ったウッドパネルがより暖かみのある雰囲気に貢献しています。

ルイス・ポールセンのコントラスト。
デンマーク語でテレビという意味のFJERNSYN。昔のテレビ屋さんの看板だったとのこと。
ハンス・J・ウェグナーの貴重なJH-539。

ボーエ・モーエンセンのModel 5272ベンチ。

ポール・ハンディバッドのスツール。

地下にある寝室に降りる途中にはチェアのオブジェ。J氏曰く壊れたチェアを切ってみたとのこと。

半地下の一室は寝室として使用。イェンス・H・クイストゴーのイージーチェアStokkeやナナ・ディッツェルのModel 115キッズチェア、アイナー・ラーセン&アクセル・ベンダー・マドセンのマガジンラックなど家具から小物まで名作がたくさん。

William wattingのチェア。
ボーエ・モーエンセンのBM29ウォールシェルフ。
イェンス・H・クイストゴーのキャンドルホルダ。
イェンス・H・クイストゴーのStokke。
40 years of Danish Furniture Designの初版物。

今回は2度目の訪問となったJ氏宅。最初に訪れた時と同じくそのコーディネートセンスに感銘を受けっぱなしで、たくさんのアートに囲まれなんだか脳の普段使っていない部分がうずうずして未開拓の感性を刺激されたような体験でした。J氏の確かな審美眼で選び抜かれた家具やアート、そして丁寧なディスプレイは、コンパクトな空間ながら豊かな広がりを感じさせてくれます。北欧ヴィンテージ家具はチーク材がメインではありますが、このようなオーク材を中心としたコーディネートも素敵でとても参考になります。各所に飾られたアートやヴィンテージ家具は、歴史を感じさせるだけでなく、現代のライフスタイルにも見事に調和していました。デンマークの美しいデザインが、日常の暮らしを豊かに彩ることを改めて実感した時間でした。J氏ありがとうございました。

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.7 ”現地取材”築148年の住宅をリノベーションした本場の空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第七弾はデンマーク現地の様子をお届けします。お伺いしたのは10年ほどの付き合いとなるJ氏宅。今回取材したい旨を伝えるとデザイナーズハウスじゃないし、ジャンク品と少しのナイスなアイテムくらいしかないけどいいの?謙遜していて、ボツ企画になるかもと思っていたところこのスタイリングときたのでデンマーク人のセンスの高さに良い意味で裏切られました。


J氏はデンマーク家具のディーラーで、個人の趣味として本格的な工房を持ち木工やDIYも得意。今回はJ氏の元で買付が終わった後にご自宅を見せてもらいました。

J氏が住むエリアは1600年代から集落として人が住み始め、近くの教会もその頃建てられたそう。J氏の住宅は1877年に商店として建てられた記録があり、さまざまな歴史を経て現在J氏が住んでいる。

当時の貴重な写真。左奥に見えているのが当時商店だった頃のJ氏宅。
当時の商店の様子。

まずは玄関から入った最初のホールにローズウッド材のグランドピアノとヴァーナー・パントンのVP GLOBEというクラシックとスペーシーが絶妙にミックスされたコーディネート。ロッカーでさえアート作品に感じてしまう空間。いきなり予想を超えてくる空間に感動を伝えようにも英語の語彙力がなさ過ぎて感動を伝えられないもどかしさに思わず窮する。

ホールの隣はキッチン。J氏がほとんどの部分をDIYで改修して使用している。コンロなどはオークションなどで安く購入したそう。

デンマークの街中を走っていると、窓から見えるちょうど良い位置に照明が吊られていることが多い。こういった造りが良い街並みを作り上げているのでしょう。

ホールの向かいはダイニングエリア。全体のバランスや配色、絵画やアートの取り入れ方、異なるテイストのものの組み合わせ、何から何までそのコーディネートセンスに脱帽。奥様が塗装をしたという古いテーブル天板に別のステンレス脚を取り付けてリメイクしたダイニングテーブルに赤いセブンチェアという構成。普通ならなかなか思いつかないコーディネートですが、パントンチェアや絨毯との絶妙なバランスによって、見事にまとめられています。照明はレクリントの CARRONADE を使用、空間をうまい具合に締めています。私自身も北欧ヴィンテージであればそのジャンルだけでコーディネートを考えてしまいますが、本当にデンマーク人はこのような異素材や異なるテイストのものの合わせ方がうまく勉強になります。 

このお部屋の主役、J氏の趣味であるお酒のコレクションを収納している大型のガラスキャビネット。SASのプレートがあることから、アルネ・ヤコブセンがデザインしたことで有名なラディソンSASロイヤルホテル(Radisson Blu Royal Hotel)で使用されていたもののようでかなりレアな一品。生涯売らないとのこと。

キャビネットの向かいのガラスの窓際にはホルムガードなどのガラス小物をコーディネート。他のお宅でも窓際や光が差し込むところにガラス小物を飾ってあるところをよく見かけます。 光を取り込みながら美しさを引き立たせています。

アフリカンアートや絵画など。古い携帯電話でさえアートです。

二階への階段の踊り場には標識。

書斎スペースにはアルネ・ヤコブセンのAJロイヤルやカントリー調のデスクなどをコーディネート。

ダイニングエリアを抜けると大量の書籍とJ氏のコレクションであるベースが壁面にたくさん飾られているリビングエリア。

リビングエリアの一角にはアルネ・ヤコブセンのエッグチェア。愛犬にいたずらされてもいいように、ほどよいヤレ感のエッグを使用しているとのこと。このバランス感覚。

リビングを抜けるとJ氏の趣味である木工の作業場へ。個人の趣味としてはかなり本格的。

オークションで落札した木工旋盤も本格的。配送に苦労したそう。

黄色のガーデンチェアとテーブルもアートに見えてきます。


J氏の住まいを訪れたことで、デンマークの文化や生活スタイルに触れる貴重な機会をとなりました。彼の家には、過去と現在が調和した空間が広がり、デンマーク人ならではの秀逸なセンスの良さに感動しっぱなしでした。特に、アートをさりげなく生活に取り入れる巧みさや、異なるテイストのアイテムを絶妙に組み合わせるスタイルにはやはり驚かされます。豊かで温かみのある暮らしのための多くのインスピレーションを得ることができました。今後も本場の生活空間を発信していきたいと思います。J氏ありがとうございました。

北欧家具tanuki 北島

2025年4月入荷予定商品をストックリストへ掲載しました。

4月入荷予定商品をストックリストへ掲載しました。

気になる商品やお取り置きご希望の商品がございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

未掲載の商品もございます。お探しの商品がございましたらご遠慮なくお申し付けくださいませ。

よろしくお願い致します。

 

北欧家具tanuki 北島