【tanuki journal】No.2 出会いや受け継ぐことを大切にされるご夫妻の心地よい空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第二弾はHさんご夫妻を訪ねました。北欧ヴィンテージとの出会いから日本刀まで話題に富んだ取材となりましたが、古来の日本と北欧の室内空間における共通点を考察する思慮深い取材となりました。


-今お住いのお家はどのように決められましたか?

Hさん(奥様):こちらの部屋はもともと私が子供の頃に住んでいたことがあって、その後に人に貸し出されたこともあったのですが、紆余曲折あり今また住んでいます。見晴らしがよく遮るものがないので、富士山も見える景色が気に入っています。

-北欧ヴィンテージ家具を知ったきっかけはなんですか?

Hさん(旦那様):最初のきっかけは、自宅の近くのお店でたまたまこのコーディアルのC&Sを見つけたことです。その時はアラビアのカップなどもありましたが、一つだけこのコーディアルが置いてあって、初見で気に入って購入しました。そのお店は趣味で集めたものをちょこちょこ出しているようなお店でしたので、ほんとうに偶然の出会いでした。そこからいろいろ調べていく中でクイストゴーというデザイナーに興味を持ち、レリーフやアズールなどのシリーズがあることを知って、雑貨を探し始めました。

イェンス・H・クィストゴーのコーディアルシリーズのC&S。
イェンス・H・クィストゴーのアズールやレリーフ、ルーンシリーズ。
BIRDS’ WORDSのセラミックプレート。

Hさん(旦那様):その後、旅行先でも北欧雑貨を集めているお店に行ったりして少しずつ買い集めていきました。その時もお店に展示してある家具を見て、北欧の家具もあるんだねというくらいでしたが、自宅近くにtanukiさんがあることをネットで知って、家具を見に行ったというのが始まりです。

 

-最初に購入した家具は覚えていますか?

Hさん(旦那様):こちらのサイドチェストですね。一目ぼれで購入しました。

籐の棚がかわいいサイドチェスト。

-籐の棚がかわいいですよね。家具を購入するに当たって選ぶ基準や重視したことはありますか?

Hさん(旦那様):あんまりこれを買おうと思ってお店に行ってはいません。実際に見てこれいいかもとか、今日それ買うつもりじゃなかったのにとかはよくあって、出会いを大切にしています。このコーヒーテーブルもそうですね。別のコーヒーテーブルが気になってお店に伺ったら、たまたま目に入ったこちらのコーヒーテーブルを、おっいいねと思って購入しました。自宅に置いてみると、とてもよかったです。籐の入っている最初に購入したチェストとも相性がよく、気に入っています。

カート・ウストヴィのコーヒーテーブル。脚のデザインがかわいい。

Hさん(旦那様):こちらのケアスゴーのチェストもテレビボードを探していて、たまたま調べていたらあの脚のデザインがいい感じだねと、そこからミラーのことも知って購入しました。

アクセル・ケアスゴーのチェスト。テレビが重いため、チェストに直置きしないように工夫して設置されています。

-出会いを大切にされているのですね。

Hさん(旦那様):先日購入したミニベアもちょうどよい買い時だったかなと。5年後だったらもう見つからないかもしれないですよね。

Hさん(奥様):一生使うなら、早い時期に買った方が使える年数が長いから、その方がいいんじゃないかと思っています。

Hさん(旦那様):その考えは二人とも共通していて、定年退職してから買うとかですと、使える年数も短いですし。一生使えるので、長く使うことを考えるとよい買い物かと思います。具合が悪くなったらアフターフォローもしていただけるし、そうやって大事に使えるのもよいですね。

ハンス・J・ウェグナーのミニベアAP20にオットマンAP29を使用。

Hさん(奥様):これまで大切に使われてきたものを使わせてもらうって、素敵ですよね。

Hさん(旦那様):新品で購入するという考えはあまりなくて、木材の経年変化の雰囲気とか温もりとかもそうなのですが、もともとアンティークとかヴィンテージとか古いものが好きな方なのだと思います。習い事の居合道の関係で日本刀を持っているのですが、

Hさん(奥様):それアンティークどころの騒ぎじゃない笑。

Hさん(旦那様):室町時代のものとか、それこそ500年とか600年前のものもあったり。

Hさん(奥様):それを一時預かりしているという感覚なんですよね。今の時代に。

Hさん(旦那様):古美術商の人が言っていたのですが、自分で終わらせるんじゃなくて、その期間だけ預かって次の方に伝えていくものなんですよと、こういうヴィンテージ家具もそういった感覚に近いですよね。

-素敵な考え方ですね。

Hさん(旦那様):それが例えば他人でなくて、家族だったり子供とか孫とかに受け継いでもらって大切にしてもらえると、ものを大事にするという教育にもつながっていくと思います。長く使うとか、すぐにものを買い替えないとか。値段は今の時点では高いかもしれませんが、50年100年の単位で使うことを考えれば。祖母がそういう考えで、いいものを長く使いなさいということを教えられました。長く使うと愛着も湧くし、傷が付いても思い出とか歴史になるじゃないですか。北欧ヴィンテージに惹かれるのは、そういうところもあるのかなと思います。

Hさん(奥様):日本刀だけではなく、お着物とか袴とかも以前に誰々先生が使っていたものを譲っていただいたり。

Hさん(旦那様):着物は縫い代に余裕を持たせて仕立て直せるので、祖父が着ていた羽織などを私が着ていたり。それもヴィンテージですよね。

Hさん(奥様):先生方や家族の想いが詰まった、特別なものです。

-デンマークの家具を受け継ぐとか引き継ぐとかの考えにも共通しますね。

旅先で見つけたリサ・ラーソンの陶板。

Hさん(奥様):このほかにも引き継いだものがいろいろあって、例えばちょっとかわいそうな感じになっているんですが笑、玄関の絨毯も実は祖父が勘違いしてお風呂マットで使ってしまっていたものを使用していたり、カリモクのビューローも祖父が使っていたものを譲ってもらったり。生前よくここで俳句をノートに書いていました。

-北欧ヴィンテージ家具に限らずたくさんのものを受け継いでいらっしゃるのですね。

カリモクのビューロー。

Hさん(奥様):照明のあり方も古来からの日本の感覚と共通するものがあると思っています。日本における金箔の使い方とか一見ぴかっと派手に見えますが、薄暗い中にあるからこそ美があるというか。

貸していただきました書籍。古来の日本家屋には陰影の美学があり、薄暗がりと屏風や漆器、砂壁などの身の回りのものとの関係は北欧の文化と通ずるところがありそうです。深い考察に感服です。
こちらも今回お届けしたランプ。お借りした書籍を読んだあとだとこの何気なく見ていた真鍮色も何か薄暗がりとの関係を考察してしまいます。照明ではあるもののむしろ点灯していない自然光の中でのあり方をも考えた配色なのか。

Hさん(旦那様):いまでこそ蛍光灯で暗いところをなくせるようになっていますが、そもそも暗がりとか影がいっしょにあるという日本家屋の感覚は北欧の考え方に近いように思います。似たような感覚を日本人はもともと持ち合わせていたのではないかと。そのような背景があるので、北欧ヴィンテージ家具とも相性がよいと思うし、木の文化ということもあるし、逆にノスタルジックというかなつかしさも感じる部分はそういうところにあるのかなと思います。

Hさん(奥様):まったく異国のものが入ってきている感じはないよね。暮らしの中にしっくり入ってきてくれる感覚。

Hさん(旦那様):素朴感というか、無駄に派手じゃなくて長く丈夫に使える。

Hさん(奥様):工業製品ぽくなく、手仕事感があったり。

-確かに日本の感覚と文化的に近い部分があったからこそ馴染みやすいという点もありそうですね。

Hさん(旦那様):手仕事感といえば、こちらのガレコレクションの作品も集めていた時期があって、これもその職人さんによって葉っぱ一筋の描き方から異なるのが面白いと思っています。こだわっているポイントが職人さんごとに違うようで、青木蓮とか藤の花とか結構個性があって。

-出会いを大切にされているので特にお気に入りのものという感覚はあまりなさそうでしょうか。

Hさん(旦那様):そうですね、例えば食事の時はカイ・クリスチャンセンのNo.42に座るし、ミニベアにも座るしミラーも使うし、その時々で一番は変わります。この中でどれを残すかを聞かれると困りますね。出会って気に入って買っているので、一生使い続けるつもりです。生きている間、ずっとそばにあるんだろうなと思っています。

カイ・クリスチャンセンのNo.42。
アクセル・ケアスゴーのミラーとチェストをセットで使用。

Hさん(奥様):旅先で購入するものもあるので、思い出もあったりして。

Hさん(旦那様):それこそこのシュガーポットのシリーズは集める気もなかったのですが、旅先で見てあっこれかわいいねとなって、いつのまにか集め始めました。

小物や雑貨から集め始めたことを考えると、今回のGE375とかミニベアとかは清水の舞台から飛び降りる感じはありますね笑。GE375もたまたまお店にあって座ってみたら、おおっという感じで気に入って。もちろんその時にお金がなかったら買えないし、よいタイミングで出会えたのかなと思います。GE375と出会ってちゃんとウェグナーについて調べ始めて、いろいろ調べる中でGEシリーズなどを知ることができたり、そうやって広がっていくのも楽しいですよね。

今回の訪問でお届けさせていただいたハンス・J・ウェグナーのGE375とアクセル・ケアスゴーのオットマン。
こちらもお届けさせていただきましたハンス・J・ウェグナーのGE375用オットマン。

Hさん(奥様):お家が気持ちいい場所って、一番いいよね。

Hさん(旦那様):ただ寝に帰る場所ではなく、ちゃんとこう生活していく空間というか。食事の空間、くつろぐ空間とそれぞれのところに使いたいものがあると行きたくなるというか、そういうのもいいですよね。

-北欧ヴィンテージ家具を使用する上で気を付けているところはありますか?

Hさん(旦那様):先にここに気を付けてねというポイントを聞いているので、例えばコーヒーテーブルの上になにか置くときには敷物を敷くなど、一工夫はしています。また、なにかこぼした時にはすぐにふき取ることも意識しています。ただ、それでも染みやへこみなどができてしまったときには、それも含めて味かなとも思っています。前の持ち主さんが付けた跡が残っていることもありますが、それはその子の歴史だからそれはそれでいいかなと。

コーヒーいただきました。ありがとうございました。

このほかにも紫外線が当たらないようにカーテンは紫外線99%カットのものにしましたし、例えばお風呂場やガンガン使うところには北欧ヴィンテージ家具を使用しないなど、状況や環境に応じて使い分けています。

Hさん(奥様):大事にしたいところにはいいものを置きたいよね。気に入ったものに囲まれて生活するのは、ほんとうに幸せなことですよね。


さまざまなものを受け継がれて大切にされているHさんご夫妻。成り立ちや歴史、文化的背景は異なれど北欧と日本の室内空間における共通点への考察などたいへん造詣が深く、はっとさせられました。また”一時預かりをしている感覚”というお言葉は”引き継ぐ”よりも長い時間軸でものに向き合われているのだとその姿勢に感銘を受けました。そのような想いのもと当店の家具をお選びいただけたこと家具屋冥利に尽きます。この度も当店のご利用誠にありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願い致します。

北欧家具tanuki 北島

 

12月のイベントのお知らせ

クリスマスシーズンの12月。当店ではいろいろイベントを企画いたしました。よろしければお越しくださいませ。

 

①デンマークのヴィンテージランプ展

高緯度に位置する北欧は、夏は日照時間が長く百夜や薄暮が続く一報、冬は日照時間も短い上に晴天も少なく薄暗い環境の中で生活をしてきました。短い日照時間と長い室内時間をいかに心地よく過ごすか、そんな環境だからこそ北欧では温もりある優れた名作の照明が数多く生まれました。日本でもお部屋で過ごす機会が多くなるこの冬の時期をきっかけに、北欧で生まれた照明を取り入れてみてはいかがでしょうか。

今回は【デンマークのヴィンテージランプ展】として、10月にデンマークより入荷したホルムガード社製ヴィンテージランプを中心にデンマークのランプを30点以上店頭に展示します。ホルムガードのランプはさまざまなデザインや大きさがありますが、同じモデルでも微妙に個体差があるので、ぜひお気に入りの一点を見つけてください。

イベント期間中に店頭にてランプを購入されたお客様には購入特典として店長お手製当店オリジナルコードリールをプレゼントします!当店でメンテナンス時に発生した端材を利用し店長が自ら製作しました。数量限定・先着順となります。種類は4種類(チーク材/チーク材色付き/シナ/パイン)あるのでお好きなものをお選びください。スタッフおすすめは通称どら焼きのチーク材仕様のタイプ。

スタッフおすすめの通称どら焼き。

開催期間:2024年11月29日(金)~12月29日(日)迄

特典対象:店頭にてランプをご購入いただいたお客様、ランプ一点につきコードリールを一つ。

 

②デンマーク買付のお土産抽選会

12月にランプのイベントを控えてはいますが店長はデンマークに買付に行ってきます。お土産を買ってきますので抽選会を行います。何を買ってくるかはお楽しみ。買付の際にいろいろ探してこようと思います。

応募対象期間:2024年12月29日(日)迄

抽選対象:店頭にて10,000円(税込)以上ご購入のお客様、もしくは来店時に店内の写真をインスタグラムにタグ付けの上ご投稿いただきました方。

 

③メンテナンススタッフ川中によるスペシャルクリスマスライブ

実は弾き語りが趣味の当店のメンテナンススタッフ川中。そんな川中がクリスマスを盛り上げるために歌い上げます。

開催日時:2024年12月22日(日)17:00~

開催場所:北欧家具tanuki店頭&インスタライブ

 

④12月限定ホットチョコレート

当店ではホットコーヒーを店頭にて無料サービスしておりますが、12月限定でホットチョコレートを無料提供します。寒い冬に少しでも温まっていただければと思います。

 

皆様のご来店お待ちいたしております。

 

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】開始のお知らせ

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品たちは今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】スタートします。

当店ではこれまで納品事例ページにてお届け先の様子をご紹介してきましたが、お客様がなぜ北欧ヴィンテージ家具を選ばれたのか、実際にお部屋に置いた際の雰囲気や使い心地、使っていく上で気を付けていることなどインタビュー形式でより実際の生活に近い観点からご紹介できればと思っております。

更新は不定期ですが現在も鋭意取材継続中、今後はデンマーク現地の個人宅への取材も予定。いろいろな情報発信をしていきたいと思います。

 

第一弾はMさんご一家。取材記事はこちらよりご覧ください。

 

北欧家具tanuki 北島

【tanuki journal】No.1 現地で自ら買い集めたヴィンテージ家具達で彩る空間

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第一弾はMさんご一家を訪ねました。当店との出会いは約10年前。そこからドイツへの転勤を経て現地滞在時に買い集めたデンマーク家具達と昨年日本へ帰国。北欧家具との出会いから選び方までいろいろ伺いました。


-どのような経緯で北欧ヴィンテージ家具に出会いましたか?

Mさん:元々学生時代から家具が好きでおしゃれな部屋を紹介する雑誌などをよく読んでいました。近くに住んでいたからか、なにかのきっかけでフェイスブックで北欧家具tanukiのことを知ってそれから気になって夫婦でいってみたことがきっかけです。来店してこれだと、ぴんときました。北欧家具いいなとこのとき思いました。

-当店がきっかけということうれしく思います。それから集め始めたのですか?

Mさん:はい、このチェストやこのミラーがきっかけです。

最初に購入いただいたチェストとミラー、大切にお使いいただきありがとうございます。

Mさん:それから北ドイツに仕事で転勤することになり、北ドイツだとデンマークに近いのでこれはチャンスと思い現地にいる間にいろいろ買おうと決心して、自分の目で選んで買い集めました。

-その際にどのような基準で家具を選びましたか?

Mさん:買うときにずっとつかっていられるかはいつも考えています。飽きないかいつ見てもいいなと思える基準がどこかにあって。最初に北欧家具を知ったときには現地では家具を代々受け継ぐとかメンテナンスして使い続けるとかは全然知らず後から知りましたが、知れば知るほどそういう使い方もいいなと思っています。

-誰かに引き継ぐことや受け継ぐことなどができる価値のある家具ですよね。

Mさん:日本に住んでいた時は引っ越すたびに家具を買い替えていたイメージだったが、今はそのようなイメージはないですね。きっといつまでも付き合うと思います。たまに子供たちにもどれが一番欲しいか聞いたりしています。もらってくれるかわからないけど笑。そのほか現地で買い集めるにあたっては日本に持って帰ることを前提としていたこともありテーブルやイージーチェアのセネターなど脚が外せたり分解できるものを選びました。

ローズウッド材仕様のオーレ・ヴァンシャーデザインのセネター。側面のビスを外せば解体が可能です。

-お気に入りの家具はありますか?

Mさん:やっぱりセブンチェアですね。毎日使っていますし特にファブリック仕様でクッションのあるタイプは疲れないんですよね。どれに座ろうかなっと思ったときにはセブンチェアに座っています。照明も好きでスノーボールはすごくお気に入り。いつみてもいいですね。最近買ったものですとタイルトップのネストテーブル。コップとか置いても水気を気にしなくていいので使い勝手よくお気に入りです。

-リビングのメインの照明はPH5とスノーボールだけですね。デンマークの照明の使い方という感じですね。

Mさん:北ドイツに住んでからだんだん暗くなりました笑。日本に帰ってきた時はまぶしくて、コンビニとかほんとにまぶしかったです。

Louis PoulsenのPH Snowball
Louis PoulsenのPH5

Louis PoulsenのPanthella。照明の使い方も素敵です。

-こちらのサイドボードも現地で購入したものですか?

Mさん:そうです現地で購入しました。これはネットでいろいろ探して購入しました。日本に持って帰って来て搬入するときは大型のサイドボードなので部屋への搬入がかなり大変でした笑。エレベーターも縦に入れて搬入しました。

蛇腹扉仕様の大型サイドボード。タイルトップネストテーブはコーヒーテーブルとして使用。
テレビ周りの雑貨類も素敵。

-日本に帰国することになりどのような基準で物件を探しましたか?

Mさん:北ドイツで購入した大きい家具が入ることを前提に探しました。現在の物件は現地で住んでいた際の間取りとも似ていたのでイメージしやすかったです。それに加えてある程度大きい家具を置いても導線が十分にとれることを意識しました。

-確かにセネターの3人掛けやサイドボードを置いても窮屈な感じはしないですね。そうすると家具ありきで物件を探した?

Mさん:はい、確かにそうですね。

北ドイツ出向中に各地で撮影した写真

 

-北欧ヴィンテージ家具を使っていく上で気を付けているところやデメリットはありますか?

Mさん子供さん:(テーブル天板に)こぼすと怒られる笑

Mさん:テーブルの染みは気にしちゃいますが、シミになりにくいようによくオイルを塗るようにしています。それはめんどくさいと捉えるかどうかは個人の考え方によりますよね。オイル塗るのは家具も好きだし気にしていない、それを苦とも感じていないですね。

取材中コーヒーいただきました。ありがとうございました。

-こちらのダイニングテーブルも4人暮らしにちょうどよいサイズですね。同じサイズの四角いテーブルだと導線も取れなそうで楕円形がとても有効活用されていますね。

Mさん:真円のテーブルでも圧迫感がありますし楕円がちょうどよかった。現地ですごい探して見つけました。ただ失敗談もあって現地でのダイニングテーブルの配送中に脚が壊れて、売主も全然補償してくれず結局自腹で直しました。

ダイニングテーブルは2段階で拡張可能。普段は使用しないとのことですが、お友達が来た際は便利です。

 

-今後ほしい家具はありますか?

Mさん:頭まであるハイバックの一人掛けイージーチェアが欲しいですね。あとは本棚も増やしたいけどスペースがなく検討中です。

-壁に穴が開けられればウォールシェルフなど付けられるのですが、、

Mさん:こちらの物件は賃貸なのと、ここの壁一面がコンクリートなので穴が開けられなく画鋲も刺さらないくらいです。だからその鳥のオブジェも打ち込むのがたいへんでした笑

苦労の末、設置された鳥たち

—数年前にデンマーク買付に行った際に、現地のディーラーからデンマーク現地のインテリアのトレンドはいろいろなテイストをミックスすることだと教わったことがありました。Mさん宅もチーク材のダイニングテーブルにスチール脚のセブンチェア、チーク材のサイドボードにローズウッド材のイージーチェアと異素材を合わせながらも統一感もありまとまった素敵な空間となっていました。雑貨や小物、ポスターや写真など、その飾りつけのセンスに脱帽です。照明の雰囲気もきっと素敵なのだろうと夜の暗くなった時の様子も見たい気持ちも抑えつつ取材を終えました。当店の黎明期よりのお付き合いのMさん。素敵なインテリアを見せていただきありがとうございました。

北欧家具tanuki 北島

 

北欧ヴィンテージ家具の魅力とは?購入時の注意点も解説。

当店で長年扱うデンマークやスウェーデンを中心とした北欧ヴィンテージ家具たち。2000年後半から起こった北欧ブームにより日本でも人気は広がり、現在も人気は定着し人々の生活に広く浸透しています。近年では円安や現地価格の高騰により国内価格も上がる一方ですが、価格以上の価値のある魅力ある家具達です。そんなヴィンテージ家具の魅力や購入時に気を付けたい注意したいポイントをまとめました。

北欧ヴィンテージ家具の魅力とは?

北欧ヴィンテージ家具の魅力は以下の4つです。

①50~70年前にデザインされたとは思えない普遍的デザイン
②貴重な材が使用されている
③経年変化の雰囲気
④現代では生産されていない廃盤品も手に入る

それではそれぞれのポイントを細かく見ていきましょう。

 

①50~70年前にデザインされたとは思えない普遍的デザイン

北欧ヴィンテージ家具は広義的にはデンマーク・スウェーデン・フィンランドなどの戦前戦後にデザイン・製造されたものが中心ですが、ここではデンマークのヴィンテージ家具を中心に解説していきます。

そのデンマークの北欧ヴィンテージ家具達は1950~70年代のデンマークデザインの黄金期といわれた時代にデザイン・製造されたものが中心ですが、そのデザインは今見ても全く古さを感じず現代の生活空間にもすっと馴染むデザインです。ハンス・J・ウェグナーのGE290やYチェア、ボーエ・モーエンセンのJ39、アルネ・ヤコブセンのセブンチェアなどの多くの名作家具達はこの黄金期にデザインされましたが、今もなお生産されて売れ続けていることからもその世界的な人気の高さがうかがえます。

なぜ、そのような普遍的デザインが生まれたのか。デンマークデザインの根底のにある考え方として【リデザイン】という考え方があります。これはそれまで長年時間を掛けて実生活から生まれ淘汰されてきたデザインをベースに現代の生活に馴染むように改めてデザインしなおすという考え方で、代表的なものに中国・明代の「圏椅(クァン・イ)」をリデザインしたハンス・J・ウェグナーのYチェアやシェーカーチェアからリデザインされたJ39などがあります。先人たちが長い時間を掛けて作り上げたデザインを元にリデザインされているからこそ人間の根源的・非言語的な部分で魅力を感じるのではないでしょうか。

ハンス・J・ウェグナーのGE290。1953年にデザインされ今もなお製造されている名作中の名作。

また北欧の日照時間が少なく屋内で過ごすことが多かったことから、家具などのインテリアが飽きの来ないシンプルなデザインになったことも普遍的なデザインが生まれた要因です。

②貴重な材が使用されている

デンマークを中心とした北欧ヴィンテージ家具は主に【チーク材】【オーク材】【ローズウッド材】が使用されています。

チーク材については現代でも手に入りますが、近年多くの家具製造販売会社でチーク材製品の製造を中止したりしています。その要因は材の価格が高すぎることやそもそも手に入りにくくなってきているためです。ローズウッド材についてはワシントン条約で取引が規制されるなどこちらも貴重な材となっています。

1950~70年代ではまだこのような材が豊富に流通していたため、現在では考えられないような贅沢な材の使い方をしており、現代で当時と同じ材の使い方をして新規に製造すると新品の方が高くなる場合もあるかと思います。それほど貴重な材を使用した家具達が手に入るという点も魅力です。

RY Mobler社製ハンス・J・ウェグナーのRY26サイドボード。貴重なローズウッド材仕様はヴィンテージでしか手に入れられません。

③ヴィンテージ家具ならではの経年変化の雰囲気

木材は時間を経ることで色味などの雰囲気が変化します。例えばオーク材は元々白っぽい色味ですが経年変化で飴色に変化していきます。この雰囲気はやはり新品には出せません。もちろん新品で購入して長年使用すれば経年変化して飴色になったりしますが、北欧ヴィンテージ家具は50~70年経ているものは中心でその雰囲気を手に入れるには相当な時間が掛かります。経年変化した材の雰囲気は柔らかく落ち着いた雰囲気なのですっとお部屋に馴染むのも魅力です。

飴色に変化したオーク材。新品にはない魅力です。

④現代では生産されていない廃盤品も手に入る

マニアックな視点ですが現在も生産され続けている一方、例えばハンス・J・ウェグナーのGE240通称シガーチェアやGE258などのデイベッドの旧タイプGE-6などすでに生産がストップしヴィンテージのものでしか手に入らないモデルも多く存在します。特に人気のモデルは見つかる頻度も低いため、出会えた際の感動や喜びもひとしお。お気に入りの家具達を見つけて手に入れるのも楽しみ一つです。

ハンス・J・ウェグナーのGE240。現在は製造されておらずヴィンテージでしか手に入れられません。

また、近年では例えばハンス・J・ウェグナーのミニベアのように復刻されるモデルもありますが、復刻のものは内部がウレタン仕様のところ、ヴィンテージのものは馬の毛やヤシの繊維など自然素材を使用していたり細かい部分の造りが異なっていたりします。また、刻印やスタンプの有無、当時の販売店のタグなどヴィンテージならではのサインも価値があり新品にはない魅力です。現行で復刻や製造されている製品をあえてヴィンテージで手に入れる”わかる人にはわかる”という楽しみもあります。

現行で復刻されたミニベア。画像のものは貴重なAP stolen社製AP20です。

 

北欧ヴィンテージ家具を購入する際の注意点

①メンテナンスされているか

私たちがデンマーク現地で買い付ける家具は50~70年前に製造され実際に現地で使用されてきたものです。私も現地で買い付ける際は可能な限りコンディションをチェックし使用上差支えの無い状態かを確認して買い付けますが、それでも基本的にはなんらかのメンテナンスは必要です。

このどこまで何をメンテナンスするのかはそれぞれのお店の価値観にもよりますが、当店の場合は少なくとも実用上問題の無いようなメンテナンスを心がけています。チェアであればがたつき・ぐらつきがないように、ウレタンがへたっていれば張替をするなど家具として問題のないように必要に応じてメンテナンスを行います。そのうえで見た目的な美しさや手触りをよくするメンテナンスなど状況に応じて対応しています。

もちろんこれが絶対的に正しいというメンテナンス方法はなく、個人の好みやお店の価値観、仕上げ方などいろいろありますが、実用するのであれば最低限実用上問題のないようメンテナンスがされているかしっかり確認しましょう。

②アフターケアがしっかりしているか

メンテナンスがされていても実際に使用していく中で不具合が発生する場合もあるかと思います。そんな場合に補償やアフターサービスがあれば購入時も安心です。お店によって保証制度は異なりますが、当店では2年間の保証を付けています。正直申しますとこの保証を使用してアフターサービスを受ける件数は年に1件あるかないかぐらいですが、もしもの時に安心です。

③できれば実物をよく確認しよう

ヴィンテージは50~70年に作られ実際に現地で使用された家具のため、その中でついた傷やダメージは少なからずあります。齟齬がないようにできる限り実物を確認するか、確認できない場合は画像などでよく確認しましょう。ヴィンテージ特有の匂いや表面のべたつきなどは実物を確認しないとわからない部分なので、後悔のないようしっかり確認しましょう。

④一般的に水や熱への耐性は低い

これは一概には言えませんが、オイル仕上げやラッカー仕上げの家具は一般的に水や熱に弱く染みや跡ができたりします。特にダイニングテーブルなど水分が付着する可能性の高い家具をお使いで染みを気にされる場合は、なるべく染みを付けないようにマットやコースターを使用するか、定期的にオイルでメンテナンスする、もしくはウレタン塗装のものを選ぶなどよく検討しましょう。

水分が長時間付着したことによる輪ジミ。

 

お気に入りの北欧ヴィンテージ家具を見つけるために。

北欧ヴィンテージ家具はその普遍的なデザインや素材の魅力、希少性などたくさんの魅力がある一方、現行品や新品とは異なり使用上の注意や購入時に確認したい注意点など気を付けるポイントもあります。もちろん実用的な耐久性や塗装の性能など現行品や新品に劣る部分もありますが、それでもヴィンテージならではの魅力は我々の生活に彩りや豊かさ、心地よさを与えてくれます。北欧ヴィンテージ家具をご検討の方でなにかご不安に思われることなどございましたら当店までご遠慮なくご相談ください。より豊かで心地よい空間造りのお手伝いさせていただきます。

 

北欧家具tanuki 北島